第28話 撮影開始
着替えを待つこと数分、着替え終わったメンバーが入ってきた。
「お待たせしました」
「どうこれ?」
美穂が俺の前で一回転した。
「うん、いいんじゃないか」
今日は制服のコスプレを用意していた。
制服も人気コンテンツの一つではある。
直接的ではないエロさもあるのではないだろうか。
「制服なんて高校生ぶりだよー」
「私も!!」
「私は、去年までは着てたから」
友梨は大学一年の歳なので、去年までは高校生だったわけだ。
「若いねぇ」
「ですです」
そうは言っても莉奈と美穂も20と21だった。
俺に比べたら全然若いし、可愛い。
「じゃあ、撮影始めるよ。そいつの指示に従ってくれ」
俺は貴雄の方を指さして言った。
写真のことはプロに任せるに限る。
「兄貴、そいつ呼ばわりは酷いっすよ」
「分かった分かった。だから、まとわりつくな。暑苦しい」
慕ってくれているのは嬉しいが、それにも限度ってもんがある。
「ふふふ、仲良しなんですね」
莉奈が俺たちの様子を見て言った。
「もう、兄貴は俺の恩人っすから」
「じゃあ、四宮さんが写真教えてもらった人って……?」
美穂が俺と貴雄を交互に眺めた。
「ああ、こいつだよ。こんなのだけど、腕は確かだから心配しなくていい」
「四宮さんがそこまで言うなら問題ないですね」
友梨は言った。
3人もだいぶ俺のことを慕ってくれるようになった気がする。
この雑誌が3人を売り出す足掛かりとなってくれたらいいのだが。
メディアに進出させるという意味では大事な一歩となる。
「じゃあ、始めようかー」
貴雄の一声で撮影は開始した。
そこからは、俺は基本的に見ているだけである。
パシャパシャとシャッター音とフラッシュがたかれている。
貴雄はメンバーにポーズの指示を出しながら、写真に収めていく。
メンバー全員の写真に個別の写真。
やはり、プロは違うなと思ってしまう。
最初はふざけていたのに、今の表情は真剣そのものだった。
これぞ芸術家って感じがする。
「それにしても、よく石川貴雄先生を呼べましたね」
いつの間にか隣に居た保谷さんが言った。
「というのは?」
「知らないんですか? これを見てください」
保谷はスマホの画面にネットニュースの記事を表示させて俺に見せてきた。
「これ、あいつじゃん」
「まさか、知らなかたんですか?」
「お恥ずかしながら」
ニュースの記事に世界的な写真コンクールで入選したと書かれていた。
しばらく見ないうちにすごい人になっていたらしい。
「編集長の言ってた通りの方ですね」
「福田さんが?」
「ええ、あいつはプロデューサーとしては優秀だけど時々常識の範疇を超えたことをやり出すと言っていました」
福田さんとは昔からの付き合いだから俺のことはよく知っている人物であることは確かだ。
「すごい言われようですね」
俺は苦笑いしながら言った。
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