第10話 バズりました!

 メンバーたちは送った写真を吟味していた。


「男性的には少し露出があった方が嬉しいものなんですか?」

「まあ、そうだな。そっちの方が見るかもな」


 俺の意見も聞きながらメンバーは投稿する写真を決めていた。


「変態さんなんですね」


 莉奈がボソッと口にした。


「まあ、男なんてそんなもんかもな」


 俺は苦笑いを浮かべた。

そんなこんなを話しているうちに、投稿する写真が決定したらしい。


「そしたら、投稿する時の文章も必要だな。できるだけ簡潔に分かりやすい方がいい」


 パッと見た時にその状況やセリフがすぐに入ってきた方がいいねがつきやすい気がする。

3人は文章にも頭を悩ませていた。


「こんな感じでどうでしょう?」


 莉奈が俺に文章の候補を何個かあげて見せてくる。


「それなら、1番上のやつがいいな」

「分かりました」


 俺は候補の中から1番刺さるやつを選んだ。

その後も、アイディアを共有しながら文章を考えた。


「あとは投稿する時間だけど、狙い目は18時くらいだ」

「それは何ですか?」


 友梨が俺に尋ねてきた。


「退勤や下校の時間と重なりやすくて、電車の中とかに見てもらいやすいからだ」


 この投稿時間というのがかなり大事だったりする。

どこの層を狙うのかにもよるが、男層を狙うならこの時間で間違いはない。


 女の子層を狙うならもっと遅い時間にしてもいいみたいだが、とりあえずは男ファンの獲得を目指した方がいいだろう。


「なるほど。ちゃんとした戦略なんですね」

「その通りだ。とりあえず、ここの時間もあるからまた着替えてきてくれ」


 3時間で借りていたのでそろそろ時間のはずである。


「分かりましたー」


 そういうと、メンバーたちは着替えに向かって行った。


「そろそろ投稿していいぞ」


 着替え終わったメンバーに俺が言った。

時刻はちょうど18時を回るくらいだった。


「了解です!」


 3人はほぼ同じタイミングで写真を投稿した。


「じゃあ、帰りますか。今日はお疲れ様」

「「「お疲れ様でした」」」


 俺たちはレンタルルームを後にしていた。

バズってくれることを願いながら、俺は帰路に就くのであった。



 ♢



 翌朝、いつもと同じ時間に目が覚めた。

いつものようにスマホをチェックすると、グループにメッセージが届いていた。


「見てくださいバズりました!」

「私も!」

「私もいつもより調子いいです」


 スクショの画像とともにそんなメッセージが入っていた。


 特に凄かったのは美穂である。

すでに1万いいねに届きそうな勢いである。


 他のメンバーも美穂ほどではないが、いいねが1000を超えていた。


 やはり、メイドとタバコの組み合わせが良かったのだろうか。

それによって、フォロワーも一気に増え出した。


「一歩前進おめでとう」


 俺はグループにそう送った。

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