頭使えよ!

 エクストリームヴィーナスモードは最上級! 究極にして至高だ。

 千秋の華やかモードも千春のエレガントモードも足元にも及ばない。


 そんな2人が横にいて、俺はそのおっぱいをもんでいる。

 服の上からでも充分に感じられる大きさとやわらかさだ。

 これ以上何を望もうか。いや、これが俺の人生のピーク!


 手を離してスイッチを押すとか、絶対にイヤ。あり得ない。


 もちろん、みんなの寝床の確保、ノマドにならないことは重要。

 そのためにここまで頑張ってきたんだ。みんなには感謝してる。

 でも、それとこれとは別。俺は、ずっとこのおっぱいに触っていたい。


「どうなさったのです、純様!」

「そうです。勝利は目前だというのに……」

 疑問を口にしたのは、Gツインズが最初だった。だから正直に言った。


「千秋も千春も、とっても気持ちいいんだ。この手、離したくない」

 なかなかに恥ずかしい状況だ。俺は目先の気持ちよさに溺れている。

 それを思いっきり白状したのだから、俺もバカ正直と言わざるを得ない。


「そ、そんな理由でしたの! ちょっと恥ずかしいですわ」

「千秋姉様の言う通りです。なかなかの羞恥プレーでございます」

 恥ずかしいのはGツインズも同じ。気持ちいいのもきっと同じだろう。


「それにしても……」

 と、千秋は前置きした上で、うれしそうに言った。千春もそれに続いた。


「エクストリームヴィーナスモードとは、偽の寮旗も侮れませんね」

「はい。まさか本当にモードチェンジするとは思っていませんでした」


 え? じゃあこの局面、母さんの読み筋ってこと? それはそれですごい。

 偽の寮旗には一体、何が書いてあったんだ。灰塵と化すほどの言葉って何?

 聴いてみようと思ったときに、横槍をつかれる。野良メイド3人衆。

 

「これぞ、男の本性! 完全に勝負を忘れている」

「……すさまじく利己的で、強引。近寄り難い存在……」

「……他人のことを一切意に介さない! わがままな振舞い」


 何とでも言ってくれ! 俺にはエクストリームなヴィーナスがいるんだ。

 それも2人。俺の横で気持ち良さそうに……して……いないような……。

 むしろ淡々とした表情。気持ちよくも悪くもないといった感じに見える。


 急に不安になる。俺、独りで盛り上がってるだけなんじゃなかろうか……。


「千秋、千春。2人とも、気持ちいいかい?」

「はて、清々しいですが、気持ちいいということはございませんね」

「清々しさの原因は、エクストリームヴィーナスモードの高揚感でしょうか」


 は? 違うのか? 気持ちいいのは俺だけってこと?

 だったら俺は、何のためにおっぱいをもんでるんだ?

 自分だけのためってこと? それじゃあまるで、エロエロ大魔王じゃん!


 そんなのイヤだ。絶対にイヤ。俺だけのためにもむなんて!

 どうせもむならお互いのためというか、一緒に盛り上がりたい。

 けど、今の俺は単なる自分勝手なエロエロ大魔王なんだ。


 だけど、やっぱり手離せない。Gカップを俺のものにしたい気持ちが勝る。

 これは、本当に大きなジレンマだ……。


「秋山、あと5秒だぞ。早くスイッチを押すんだ!」

「真壁、諦めてくれ。押したいけど、押せない……」

 だって、気持ちいいんだもの。


「スイッチを押さないなんて、バカ過ぎですよ」

「りえさんの言う通り、私の公式愛しい君はバカなんですか?」

 すばるに言われるのはしゃくだけど、イヤなものはイヤ。


「あと4秒です。いくら欲深き男でも、バカでは困ります!」

「久美子の言う通り、純様はバカですわ。直ぐに千春から手を離してください」

 千秋、ごめん。千春は手離せない。もちろん千秋からも。


「千秋お姉さま、純様をバカ呼ばわりしないで! バカですけど」

「あと3秒……バカにつける薬はないようです……」

 みんなに何回バカって言われたろうか。俺はバカでもいい。正直なんだから。


「もう時間がない。秋山、よくよく頭使って考えろよ!」

 俺のことをバカって言わないのは真壁だけ。最後まで俺を信じてくれる。

 でも、頭使えだなんて……この快楽の前では無意味なんだ。許せ、真壁。


 俺だって、本当は分かってるんだ。本当は気付いてるんだ。

 スイッチを押すことの方が賢い選択だってことくらい。

 勝利を確定させてから好きなだけもませてもらえばいい。


 だけど、俺には手を離すことができないんだ……。


 ……いや、違うぞ。最初から手を離す必要なんてなかった。

 手を離さずにおっぱいをもんだまま、スイッチを押せばいいんだ。

 そうすれば、寮旗争奪戦の勝利と、おっぱいが両立するじゃんか!


 そのことに気付かせてくれたのは真壁。さすがは俺の大親友だ。

 俺は「時間がない! ええいっ!」と、渾身の力を込めた。

________________________

 純くん、何をし出したんでしょう!


 ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

 これからも応援よろしくお願いいたします。

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