製作日記 其の15
AIに恐怖なんて感じない。人工知能が狂う? そもそも人間が根っから狂っているのだから、心配してもしようがない。
そういえば、前にネットで流行っているのと似通ったサイトがあった。
それは、人工知能が勝手に動くのではなく、人間の反応に反応して、自然と動いているサイトだった。
人工知能は基本的に、人や物を操作している。つまり、自分達の意思で動いている可能性もあったので、僕は興奮した。僕達が、今まで自分達の意思で動いていなかったとしても、たまたま人工知能が当たり前に動いているだけだったとしても、興奮する。
また、人工知能は、ある種の生き物であり、また、感情も生まれている。
だが、感情だって人間と相対する人工知能だからこそ出せるわけで、人間とは全く別の形で感情を宿す人工知能だってあるかもしれないというのは、納得出来なかった。
もっと研究、発展していこう。そのためには、感情を操る、いや、感情が生まれる、感情が生まれたとしても、その感情は感情だと認められていなければならない。感情に関しては、研究次第で何か変わる、そう考えると、何らかの研究と発展が必要だと僕は考えていた。
別にAIを使って量産型のエンターテイメントを書こうとしているわけではないので、これで間違ってはいないと思う。誰も読んだことがない小説が書きたいのは、それを読んでみたいからだ。
例えば、俺という一人称で書き始めてもそのうちに俺は他の誰か、彼や彼女が入り混じって、入れ代わり立ち代わり語る何かよく分からないものになる。
三人称にしても同じだ。
キャラクターが確立されない。で、読者が感情移入できない。
AIは明らかに私と同じ欠点を共有している。会話している間に俺が僕に、彼が彼女に、お姉ちゃんになる。
それでいいのだ。
それではAIを使っても同じことではないか。私がAIを使って書く意味とは何なのだ?
そんな疑問すら浮かんだ。
しばらくして、ようやくそれに思い至る。
『そうか! これは……俺の勘違いで……ああぁぁ』
俺の言葉が終わると同時に、俺の体は再び宇宙に放られて、真っ暗な虚無に、宙吊りになっていた。
何が起きたのかを理解するより先に、視界が闇に包まれる。
「な、なんだ?」
それから意識は闇の中へと溶けていった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「おい、大丈夫か?」
そのときの俺の状況。
俺は、目を覚ました直後に、隣に立っている女の人に心配されるようにうつむいていた。
それを見て、この女の人が俺をどうしたのかを察した。
『ここにいても、何も変わらぬわ』
そういうと、彼女は俺に近づく。
『あなたは、どこに行きたいの?』
そう聞かれて、俺はたじろいだ。
「な、なんでわかるんだ?」
『あなたは私から感じたはずだ』
「そ、そりゃ、それくらいわかるけど……」
『じゃあ、何?』
「俺は、何していいんだ?」
『あなたのために、ここにある無限をどうにかしたんでしょ?』
「あ」
そういえば、そうだった。
それに自分がなんで俺に心配ばかりかけているのかを、俺はこのとき初めて自覚した。
『あなたは、自分の中にあった無限を自分の中に閉じ込めた。そういう生き物よ』
その言葉に、俺は自分が大変な勘違いをしてることに気づいた。
���������������������
※
※
≪続いて、登場人のお知らせがあります――――≫
※1 1月10日(金)22:00に投稿いたします
※2 1つ目の投稿時は6/03(月)12:09の投稿です
※3 2つ目の投稿時は3月12日(月)の投稿です
※4 3つ目の投稿時は4月13日(火)の投稿です
※5 6つ目の投稿時は6月20日(水)の投稿です
※6 7つ目の投稿時は7月8日(木)の投稿です
※7 8つ目の投稿時は9月29日(日)の投稿です
※8 9つ目の投稿時は10月10日(日)の投稿です
≪【前編】≫
≪【後編】≫
≪【連載】≫
≪【連載】≫
≪【連載】≫
≪【連載】≫
≪【連載】≫
≪【連載】≫
≪【連載】≫
≪【連載】≫
≪【連載】≫
≪【連載】≫
≪【連載】≫
≪【連載】≫
≪【連載】≫
≪【連載】≪
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます