第11話 噂

 世界の起点はじまりには、このがある。


 そんながまことしやかに囁かれるようになったのは、ブルートラッシュの中期頃だった。

 その頃のわたしとタージュは、故郷に戻ることも忘れて、ひたすら未開の地の進出に没頭していたな。彼が負傷して引退を容儀なくされるのは、もう少し後のことだ。

 で、そののことだが。

 これもおかしな話でね。

 誰が言い始めたのか。その根拠は一体何なのか?

 それが一切分からない。

 にも、関わらず調査団のほとんどがそれを割と信じてしまっていた。

 そうさ。

 その大陸の中でも起きていたんだ。

 大規模な共時性シンクロ・ヴェルトというやつがね。

 そしてある時。

 新人の調査員として来た者の中に、その噂に憑りつかれていた奴がいたんだ。

 誰かによるお膳立てに、ものの見事に乗っかってしまった奴がな。

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