第1章 異世界確認
第1話 スキルを検証①
アタルは目を覚ますとそこは石造りの建物の中だった。
しかし出入口と思われる所に扉はなく外から弱い光が入ってきている。所々明り取りの窓のように壁に穴が開いており、端には石造りの大きなテーブルがあり、その横の壁は椅子のような段差がついていた。
アタルはそこに座った状態で目を覚ましたのである。部屋の真ん中には石柱がありその向こう側には
とりあえず周りに人も居らず、危険もなさそうなのでスマートシステムを開いてみる。
すると見覚えのある半透明の画面が目の前に表示された。
本当に異世界に来たみたいだなぁ。
画面の上の方を見ると[6.1 6:37]と表示されていた。
確かノバも1日24時間だったから朝ということかな?
6月1日だとすると3日ぐらい過ぎたのかなと考える。
あっ、でも1ヶ月は30日で、1年は12ヶ月と別に神恩の礼宴が毎年5日あったはずだから、微妙に違うかも………。
ノバの日時の基本的なことはスキル作成の時に把握していた。基本的に日時は地球と同じだが、
【ノバの暦(こよみ)】
1年 … 地球と同じ基本365日、12ヶ月と神恩の礼宴という5日の祝日
1ヶ月 … 30日固定
1週 … 光、水、土(地)、火、風、闇の6日
1日 … 24時間
【ノバの単位】
長さ … 1メートル=1メル、1000ミメル・100セメル・1メル・キメル(1000メル)
重さ … 1グラム=1ラム、1000ラム・1キラム・トラム(1000キラム)
体積 … 1リットル=1リル、1000ミリル・1リル・キリル(1000リル)
「まずは自分の能力の確認だな。」
ステータスアプリを開くとステータスが表示された。
【ステータス】
──────────────────────────────
名前:アタル
種族:人族
レベル:1
HP:100/100
MP:10000/10000
スキル:身体強化(3/10) ・状態異常耐性(3/10)・生活魔法(5/5)
魔力感知(3/10)・魔力操作(3/10)・魔力回復(1/10)
土魔法(3/10)、スマートシステム
──────────────────────────────
この世界に来たばかりなのでレベルが1なのは当然だ。
それ以外の数値やレベルが高いのか低いのかは他と比較してみないと分からないが、神々からは安心して大丈夫と言われたのでたぶん問題はないと思うことにする。
それでも自分の身は自分で守らないと………。
「まずは安全確保が優先だな。」
ひとり言を呟くと設定アプリを開く。
まずは
視界の奥に半透明の丸い地図が表示され、サイズを調整しながら右上に移動させる。
これに気配察知を連動して表示させるように……。たぶんまだ30メルぐらいしか表示出来ないみたいだなぁ。
生物を気配察知で地図に表示するように設定する。中央の点が自分を表示しているようだ。
う~ん、……取り敢えず魔物が入ってきたら通知させるかぁ?
更に設定を次々に変更していく。
HPとMPが枯渇したら命に関わりそうだし、残量を表示させようと考え、HPとMPの残量(横棒)を視界の左上に表示するように設定する。さらに半分になると黄色に、1割を切ると赤になるようにする。
ついでに日付と時間を残量表示の横に表示するように設定する。
視界がまるでゲーム画面と同じようになり楽しくなってくる。
魔力回復スキルや状態異常耐性スキルは
身体強化は
安全を確保するために身体強化の設定を変更する。
MP消費は大丈夫かな? おぉステータスを見ても減っている様子はないから大丈夫そうだな!
アタルは気付いていないがノバでは身体強化を常時発動することは非常識で、それが可能なことも非常識なことである。
神界で他の神々に気に入られて、MP総量も回復能力も驚くほど高く、スマートシステムとその他のスキルを連動させることで、非常に魔力効率が良くなっていたのである。
その時頭の中で「ピコン!」と音が聞こえた。油断していたのと初めて頭の中に直接音が聞こえたので驚いた。
よく見ると視界の下の方に、
『神託にメッセージが届きました。』
と表示されていた。
これって神託だよなぁ、自分で創ってなんだけど神託がこんなので良いのかなぁ?
疑問を感じながらも神託アプリを開いてみる。まるでL○NEなどのメッセージアプリのような画面が開き更にメッセージを開くと、
転子(転生の女神):
──────────────────────────────
無事に転生できたようで何よりじゃ!
お主の今いるのは街道沿いある休息所になるのじゃ。
そこは300年ほど前に賢者が造ったもので魔物除けの結界が施してあるのじゃ!
しかし100メル程しか効果はないし、お主なら問題ない弱い魔物は入ってくるのじゃ。
そこで少しスキルを試すが良いのじゃ!
そこを出てどちらに歩いて行ってもお主なら半日ほどで人里に辿り着けるのじゃ。
──────────────────────────────
正直言わせてもらうと、のじゃ言葉が非常に
それに転子という名称はどうかと思うが、必要な情報もあるから良いかと思い気持ちを切り替える。
とりあえず安全みたいだし、生活魔法アプリを試してみようと考える。
生活魔法アプリは、元からある生活魔法スキルを、スマートシステムに取り込んだだけで、基本的な部分は全く同じである。ノバでは10歳になるまでに、殆どの人が生活魔法スキルを取得するらしい。
【生活魔法】
Level1 …
Level2 …
Level3 …
Level4 …
Level5 …
それから生活魔法アプリにある魔法を試していった。
続いてスマートシステムの画面を閉じて、イメージだけで同じように使用できることを確認する。
魔法を発動するのに詠唱は無くても問題ないようだが、魔法を使う度に初動時に魔法陣が表示されている。パラメータを変更すると魔法陣の一部も変更されているのがわかる。
さらに一通り試す。
ノバの人は生活魔法スキルを殆どの人が持っていると神様は言ってたけど、これは相当に便利な魔法だと理解できた。
神様の負担も少ないから生活魔法アプリは最初から最大レベルにしてくれたけど、Level3の
しかし
生活魔法は1メル程度なら離れた場所にも発動できるようだ。まだ今は検証出来ないのもあるし後は随時確認しようと考える。
次にストレージアプリを開く。
ストレージは収納スキルの上位互換で、状態保存のon/offが収納物単位で設定できる。容量も効率化したことにより大容量が収納可能だ。現在のレベルはLevel1だが体育館ほどの量を収納できる。
ストレージにはすでに大量の物資が収納されている。
神々が当面の必要物資として用意してくれたのだが、最初は収納できないほど大量に用意された。そこから選別するのが大変であった。
不要と判断すると、その物資を用意した神が悲しそうな顔をする。最初はその顔を見ると心が痛んだが、それでは選別が全く進まないので途中からは無視して選別を進めた。
それでも容量の6割ほど収納されている。
収納一覧を表示すると大量の物資が表示される。分かり辛いので食物や調味料、武器や生活用品、素材などカテゴリに分けて見やすくする。
調味料はトラム(トン)単位で収納されている。他にも食物も果物を中心に大量にある。調理がすぐ出来るか分からなかったので、すぐに食べられる果物を多めに貰っておいたのである。
一覧からナイフを選択して手元に出してみると、問題なく手の中にナイフが出てきた。それをまた収納する。さらにストレージアプリを開かずにナイフを出し入れしてみるが、これも問題なくできた。
しかしLevel1では触れている物しか収納することができず、手元にしか出すことができないようだ。
手元に出したナイフを鑑定アプリで鑑定してみると『ナイフ』としか表示されない。鑑定アプリはLevel1だから名称しか表示されないのだろう。また手元から離すと鑑定できないようだ。
収納したナイフを解析アプリで解析すると『ナイフ:鉄製のナイフ』と表示された。鑑定より少し詳細に情報が表示されるようだ。
さらに他の物を解析しようとして気が付く。解析アプリがLevel1からLevel4にレベルアップしていたのだ。
なぜ一気にレベルが上がったのか考えていたが、すぐにあることを思い出す。
そう言えばスキルやアプリを初めて使うと、地球での経験が反映されてレベルが上がることがあると権能の神様に説明されていた。
再度収納したナイフを解析アプリで解析すると、先ほどの表示にさらに『鉄分:83%』といった感じで成分が詳細に表示されていた。地球の科学知識がレベルアップに関係があるかも……。
知識と言えば叡智アプリと考えて叡智アプリを開いてみる。
検索機能はグレイアウトしており選択することができない。検索する情報は訪問した街や村の情報になるので、まだ何処の街や村に訪問していないので一切情報がないので当然である。
書籍機能は作成できるようだが、登録書籍は一つもない。これも書籍登録をしていないので当然である。メモ機能は利用できるようだ。
地球のインターネットについても神様にお願いしたが、調整すると言っていたが今のところ出来そうにない。
カレンダーアプリは予定表やアラーム、タスク管理が出来るがすぐに必要という訳では無いので後ほど確認しよう。
次は身体強化を検証してみよう♪
そして今度は立ち上がって部屋の真ん中の少し開けたとこまで歩いて行く。
ただ歩くだけでもなんだか体が軽く感じるなぁ。
身体強化の効果だろうか?
「ヨッ!」
そう言うと行き成り飛び上がった。しかし予想以上に飛び上がり天井に届きそうになった事で体勢を崩して地面に叩きつけられた。
「いっ、痛ったー?」
…あれ痛いけどそれほどでも? もしかして耐性か身体強化のおかげ?
地面に仰向けで倒れたまま思わず考え込む。
すぐに起き上がると、体が砂だらけになっていたので
やっぱり
砂はどこに消えたのか疑問に思うが、これって自分だけにしか使えないのか気になる。
先ほどのテーブルに行き
「凄いな~、これなら風呂や洗濯だけでなく掃除も出来そうだよ!」
そう呟くと部屋の中を次々と
あまりに簡単に綺麗に出来るから調子に乗ってやりすぎたかも…?
竈もここまで綺麗になるとは?
ひび割れとか出来ているけど、これって土魔法で修復とか出来るのか気になり、修復するイメージで土魔法を使うとひび割れが消えていく。
う~ん、土魔法は元からあるスキルだから、スマートシステムとは感覚が違うなぁ。
使おうとすると頭の中に魔法陣が浮かぶし、発動したときのあれは魔力の流れだと思うけど全然違う感覚だった。
土魔法については急ぐこともないし、とりあえずは外に出て身体強化の練習しよう!
アタルはそう言うと出入口へ向かって歩いて行く。
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