気分自殺

「はぁー」


 これで何度目の溜息だろうか。

 最近、全てが上手くいかない。自分では頑張ってやってるつもりだけど、結果は出ないしそれなのにミスはするし。何も良い事がない。気分も下がる一方だし。


「もう何だかなぁ」


 溜息交じりの言葉は暗い部屋に溶けて消え、この気持ちを反映させたような重く暗い空気が体を包み込んだ。

 そんな中、何かが絡みついたように上げるのすら面倒な腕を上げると、人差し指と中指を伸ばして作った銃の銃口をそっと蟀谷に当てる。目を瞑り、二秒の静寂が辺りを満たした。


「ばんっ」


 暗く抑揚の無い声と共に銃は跳ね上がり、僕の意識は途絶えた。

 それは僕からすればほんの一瞬だったけど現実では五分という時間が流れた後。長い眠りから目覚めるようにゆっくりと戻ってきた意識に瞼が上がっていく。

 気分はまるで快眠ししかも自然に目覚めた朝のように清々しく気持ち良かった。さっきまでのどんより沈んだ気分が嘘のようだ。きっとあれはただの悪夢だったに違いない。そう思わせてくれる程に今は気分が良い。


「さぁーて! 明日も仕事頑張ろうかな!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る