いみこわ「包帯だらけの少女」

坂本尊花

第1話「本文」

 昔々のお話です。

 ある男が山越えの最中、遭難してしまいました。とてもとても深い山の中です。

 しかし男は運のいいことに一つの民家を見つけることができました。


 民家にはおじいさんと、いたるところに包帯がある少女が住んでいました。おじいさんには歓迎されませんでしたが、久しく客人が来ていないのか、少女はとても嬉しそうでした。その子の計らいで夕食までご馳走になることになりました。


 ちなみに木こりをして生計を立てているようで、部屋には斧とどこにでもある生活用具だけがあります。


 その後、空小屋を借りて、寝間着に着替えました。そして、男の前に料理が運ばれます。運び手はあの少女でした。


 料理は、塩と漬物にアワが少し、しかし新鮮な肉が三切れありました。森の中だからでしょうか?何はともあれすごいことです。


 「豪勢ですね」


 男は思わずつぶやきました。

 すると少女が言いました。


 「私の料理おいしいですか?」


 「あゝ、もちろん」箸で料理を口に運んで言います。少女は嬉しそうに笑いました。

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