「シネマ」Ayase

ニコニコ:https://www.nicovideo.jp/watch/sm38708262


Youtube:https://www.youtube.com/watch?v=EEbWRjavSVw


次に紹介するのは『シネマ』だ。製作者はAyase、使用音源は初音ミクである。


この曲はSEGAとカラフルパレットによるスマホゲーム「プロジェクトセカイ カラフルステージ!」に書き下ろされた楽曲である。YOASOBIのコンポーザーとしての顔を持つボカロPであるAyaseが書き下ろしたこの楽曲だが、配信直後から高い人気を誇っている。

ゲーム内ではVivid BAD SQUAD、通称ビビバスが歌唱を担当しており、非常にクールな雰囲気となっている。プロセカのストーリーを踏まえた上で聴き直すと、曲の内容の感じ方がまた大きく変わる。私はこういう、文脈によって形を変える楽曲が大好物である。


さて、この曲について語っていきたいが、あまり無茶をすると、プロセカのネタバレになりかねない。なので今回はプロセカという視点を除いて語ってみようと思う。

この『シネマ』だが、おそらく10代のボカロファンに刺さったという人が多いのではないだろうか。というのも私はこの曲を「夢を追う者たちの曲」と感じ取ったからである。

10代といえば学生時代であり、夢や希望を持って何かを頑張ることも多い。しかし、そう簡単に夢が叶うほど現実は甘くない。「こんなはずじゃなかったよな」と苦悩する。その苦悩が歌詞にも見られる。

「何が良くないのか 何処が良くないのか そこまで教えてくれよ」

「向いてないない 今すぐやめてしまうか」

「いつになれば僕は 主役になれるんだろうな」

それでも彼らは夢を追い続ける。「明日に期待」しながら。そして彼らはようやく気付いた。

「まだここじゃないない 終わりじゃないから」

「向いてないない なら書き変えてしまえよ」

「ほら大体 いつもいつでもきっと 主役は僕だけだろ」

そう、ここから彼らの逆転劇が始まるのだ。「笑顔でカーテンコール」を迎えるために。まさに「映画のようなストーリー」だ。

この一本の物語をわずか3分半の音楽にまとめあげてしまうAyaseの腕に感動を覚える。ぜひ、ボカロ版とビビバス版の両方、そしてプロセカの物語を楽しんでほしい。


余談にはなるが、この曲は

「最底辺から駆け上がった 映画のようなストーリー」

というフレーズで締めくくられる。この「最底辺から駆け上がった」のは誰かという点でいくつか解釈が挙がっている。私は、少ない売上数から今の人気を勝ち取ったKAITOにも当てはまるのではないか、という解釈が非常に好きである。可能なら、この部分の解釈を知っている、持っている人は私に教えてほしい。単純に知りたい。

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