少佐
「無事に出産を終えられたのか? ありがとう、ビアンカ」
「少佐♡」
疲れ切って寝てしまったノーラを赤ん坊と共に寝床へと移動させ、出産の痕跡の後始末をしていたところに少佐が帰ってきて、私は思わず声が弾んでしまいました。
少佐。総合政府直轄太陽系統括軍木星方面隊から出向してきた生粋のエリート軍人である彼の名前は、
<
惑星探査チーム<コーネリアス>の防衛主任でもあり、私と
なのに、彼は、
「ビアンカ。僕は<少佐>じゃないと何度言ったら……と言っても無駄なんだろうね」
少し困ったように微笑みながら言いました。そんな彼に私は、
「いいえ! 少佐は間違いなく少佐です! 誰がなんと言おうと少佐なんです……!」
普段は、<
ちなみに
少佐は、そんな私の気持ちにも配慮してくれる、本当に器の大きい方です。
だけど、私は知ってるんです。彼が本当は、内気で人見知りをするタイプだっていうことを。立場上、毅然としていないといけないから、まるでロボットのように超然と振舞うことを心掛けているだけだっていうことを。
それがまた、こう言ってはなんですけど、『可愛く』て……♡
だから私は、彼のことが好きなんです。
正直、
でも、
けれど、今はとにかく少佐が帰ってきてくれたことで私の心は満たされていました。
「うん、母子共に健康そうだ。君のおかげだよ」
ノーラと赤ん坊の様子を確かめて、少佐はそう言ってくれました。それがまた嬉しくて、
「えへへ♡」
頬が緩んでしまいます。
なのに、
「がはは! 帰ったぞ~っ!!」
品のない大声。嫌々そちらに視線を向けると、背は決して高くないものの毛むくじゃらでいかにも頑健そうな男性と肩を組んで歩いてくる、
肩を組んでいる<毛むくじゃらの男性>は、
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