第258話 アードルハイムからの来訪者Ⅱ
「これがあればいつでも話すことができるだろ? 俺の屋敷にいる人間が話すことをできるようにしておくから、気兼ねなく相談してくれ。俺はいつでもアードルハイムに行けるから」
「いつでもって言ってもなかなか距離がありますからね」
ラングドールがそう言うと俺とミクちゃんはニッと笑みを浮かべた。
「な――なんですか?」
「ラングドールよ。俺とミクちゃんに付いているこの耳飾りが分からないか? まあイヤリングって言うんだけど」
「わ――分からないです」
ラングドールは終始困った表情を浮かべてた。やっぱりこのイヤリングは知らないんだという安心感はあったけど、同時にこんなに凄いイヤリングを他国に知られないようにしている
「これは
俺がっそう説明をするとラングドールは「す……凄い!」と感心していた。しかし、数秒も経てば「う~ん」と唸っていた。
「それほど凄い物が出回ってしまうと悪者が入手したとき――犯罪は凄く増えるでしょうね。それこそアードルハイム皇帝の手に渡っていたどうなっていたことやら……オシャレなアクセサリーに見えるので、まさかそんな凄いスキルがあるとは思いもしませんでしょう」
「そうだろ? これが無きゃ俺は今頃助かっていなかったさ。もしかすると死んでいたかもな」
「と、言うと?」
「私が
「持っている人達が貴方達や
「違いない」
「ヴェドラウイルスの方はどうなんですか?」
「ああ。
「いいよ」
俺はミクちゃんに
「少し見てもいいですか?」
「ああ」
俺がケースを1つ渡すと
「凄い……
ラングドールはそう訊いて来たけど俺はそんな情報微塵も知らない。
「え? そうなの?」
「知らなかったですか?
「でもステータスに不食っていうスキル付いていないぞ?」
「恐らく特性ですね」
「成程――それは凄い」
「ではお返しします」
「すみません。じゃあ私行ってきます!」
「おう! 頼んだぞ!」
俺がそう言うとミクちゃんは手を振りながら姿を消した。それを見て呆然としているラングドール。
「本当に消えた――ナリユキ様と同等の耳飾りを付けておりましたのでその効果ですか?」
「そうだ」
「凄く便利ですね。行きたいところに瞬時に移動できるなんて」
「そうだな。でもまあ、
「やはり危険だからですか?」
「それもあるだろうが、そもそもそんなポンポンと作ることができる代物では無いしな」
「成程。それもそうですね」
俺とラングドールがそう話をしていると、再びメイが「大変ですっ!」とトコトコと駆け寄って来た。その後にはアリシアの姿もある。
「メイ、今日忙しいな。それにアリシアも一緒か」
「はい」
アリシアはそう柔らかい表情を浮かべて返事をした。何か良い事でもあったのだろうか?
「可愛いメイドさんですね」
と、ニッコリとラングドールが笑みを浮かべるとメイは少し恥ずかしがっていた。うちのメイドを口説かないでくれ。アンタ、顔めちゃくちゃ強いんだから。誰がどう見たって王子様みたいな
「この手紙を見て下さい! 差出人はメリーザさんです!」
まあメイは
「メリーザって確かマカロフ卿の時にいた
「味方というか協力だな」
「
メイはそう言って俺とラングドールの近くに来た。
「いいぞ。宜しく頼む」
「私は同席していても良いものでしょうか?」
ラングドールはそう不安気に訊いて来たので「気にするな」と返した。
「では読み上げます。ナリユキ・タテワキ殿。お身体は大丈夫でしょうか? どこかに違和感などは感じないでしょうか? 無事いるのであれば安心です。さて、この手紙を送るに至ったのは、つい先日、
「ありがとうな」
俺がそう言うとメイは満足そうだった。さて――。
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