第20話-① (王の)罹患証明書
これは―――歴史にすら語られて来なかった……
そして後の世にて、発覚してしまった―――『王の死』の、その“真相”…………
“それ”は、いつの頃からかは、判りませんでした―――ただ、“熱っぽい”と言う自覚はあった……だからこそ、『
けれどあの日―――魔族の王率いる『魔王軍』との決着が着き、陣営にある自身の天幕で疲れた身体を休めようと―――長椅子に背を凭もたれ掛けた時だった……。
本編では、その行動と同時に「設置型罠魔術」が発動し、王は多くの魔族の刺客が待つ例の場所へと転移させられたのではありますが……
その以前に王は―――妙な“
「(また
まあ……魔王との決着の前に、再発しなかったのは不幸中のさいわ―――い……」
その、“妙な
この窮地を救ってくれたのは、自分の魂の内に
こうして、王の一世一代の窮地は
「倦怠感」と同時に、「高熱(38.5°)」を発することもあり、満足に食事が咽喉を通らない事すらあった―――しかし、病気の時こそは体力をつけなければならないものとし、無理にでもその腹に食べ物を詰め込もうとするも、その無理をした分だけ“下痢”で食べたモノ総てを出してしまっていた―――……。
これでは……栄養にはならない―――
これでは……体力にはならない―――
けれど、今の私の体調が周りに知れてしまうと、またしても世の中は混迷の―――戦乱の世へと逆行してしまうだろう……
そう感じた王は、ある日を境に『日記』なるものを
しかし―――その『日記』こそは、その日その日にあった出来事を
その『日記』こそは―――後の世に明らかとなる、ある恐るべき病との“闘病”の証し……
* * * * * * * *
王自身が身体の異変を感じ取った時には、単なる『
けれど結果的には、王が罹患していたのは、単なる『
この世界―――そしてこの時代に於いては、まさに「未知の病」……
そう―――「未知」の……
その当時にはその病の概念すらなく、「発熱」「倦怠感」「下痢」等の症例だけを取ってみると、単なる『
しかし―――その“病”は、単なる『
では、『
これは、後の世にて明らかとなってきたのですが―――実は……王の魂に宿っていた、“
その――― 王が
恐るべき“病”の名称――――
=法定伝染病 一類感染症5号=
またの名を……
【
{*『法定伝染病』とは、感染力や
{*『
主には不衛生が原因。
高い致死率を誇り、
世界史に於いても、特に大流行した14世紀には、世界の人口が1億人程度犠牲になったとされている。
潜伏期間はほぼ1週間。
全身の「倦怠感」に始まり、次第に「悪寒」が
{*敗血症とは―――感染症に対する、制御不能な生体反応に起因する、生命を脅かすような「臓器障害」のことを言う。
主に「ショック障害」や「多臓器不全」等を伴い、「昏睡」……手足が「
{*主な対処法―――各患者
ちなみに……ではあるが、近年に於いての日本での死亡症例は―――ない。}
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます