世界は俺の為にある
桐崎 春太郎
第1話 どうにもならない
俺は三人の兄貴がいる。上から下まで馬鹿な奴ばかりだけど皆全然違っていた。一番上はマルソン。お人好しだが、どこか弟を見下すような奴だ。考えてることもわからない。でもあまり弟を好きではないというのは見ていてわかる。でも必要なときは弟を一番よく見てると言わんばかりに兄貴を名乗るうざい奴。二番目はロビンフッド。一番我儘で短期。兄貴も弟もいて一番ストレスがたまるからだろう。けれどマルソンと比べて優しくて子供っぽいせいで少し周りによく思われていないようだ。それに気づかずイライラしっぱなしな奴。三人目はピーター。兄貴達を馬鹿にしてる。いつもお母さんに兄貴が怒られてるとニヤニヤ笑ってるうざい奴。まるで俺の存在を忘れてるかのように末っ子を気取ってる。我儘は言わないが何でも欲しい物を上手に手に入れるずる賢い奴だ。
そんな奴らが兄貴になってしまいいつもイライラした。しかしそれは特に大きな問題と言うわけではない。ただ兄弟として、ムカつくというだけだった。
今日もいつも通り庭で鬼ごっこをしてる。最近再び俺達兄弟の中で再流行した。鬼ごっこでは俺はいつも勝てる。この中で一番足が速かったから。それは兄弟の中でだけでなく学校でも同じだった。鬼ごっこ、競走、足を使うことなら誰にも負けなかった。一番好きなのは努力して足を速くしてる奴に勝つとき。その時俺は誰にも負けない足の持ち主だと自覚することができる。それをお母さんに話すと、お父さんに話すと、「今のうちだけだよ。そんなの。」と言ってくる。両親は認めてくれなかった。そんなことないと言い返そうとするも根拠がなく言い返せない。だから両親にその話をするのはやめてしまった。しかし兄貴にはいつもいつも煽った。兄貴は弟に負けるという屈辱を酷く嫌がった。それでズルだのなんだの言って勝とうとする兄貴が面白い。勝てないのに何らかの理由をつけて俺を負かそうとする兄貴が大好きだった。馬鹿で俺が一番で大好きだった。
でもそれもつかの間。
友達も兄弟も誰も鬼ごっこや競走、足を使うことに誘ってくれなくなった。嫌われたんだ。そう理解するのに時間はかからなかった。そのまま時間は経ち、俺は独りになった。そして高校に行くことになった。
俺は軍隊、国の為になる仕事に就きたかったから高校は軍事育成高校。馬鹿な俺に似つかない高嶺の高校だった。受かったと知ったときは兄貴を鼻で笑った。馬鹿な兄弟とはさよならだ。そう思った。
入学したのはいいものの、やはり友達、と呼べる物はできなかった。でも悲しいことにもう慣れていて対して気に留めなかった。ぼーっと窓の外を見て時間を潰す。正直そんな時間は好きだった。ただ辛いのは、影で俺の名前を呼ばれてること。不快で不快でたまらなかった。俺は正直そんな奴らと仲良くしたいとは思わなかった。
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