第43話石川から富山へ 激昂の茂樹
石川県の白米千枚田群、ここに来た石木と安室たちを捕らえるために動いていた大内と若竹と真辺。だが石木たちを捕らえることに失敗し、反対に捕らわれてしまった。
「離すでごわす!!」
「だめよ!そもそも、あんたらはなんであたしたちの修学旅行を邪魔するの?」
「そうです!あなたたちのしていることは、人としてあり得ないことです!」
香山と同心が大内にかみついた。
「うるさい!!お前らに我らの事情は解らぬわ!」
大内が叫ぶと、石木・安室・大嶋がやってきた。
「君たち、よく捕まえたね。」
「大嶋さん、あいつら白米千枚田群に来る途中からつけていたみたいで、ちょっと罠にひっかけたらあっさり捕まりました。」
「罠?どんなのをしかけたの?」
「あいつらに『安室を見た』と言って、田んぼに向かわせたんだ。そして背後から突き飛ばしてやった。」
確かに捕まった彼らは田んぼに落ちてで泥まみれになっていた。
「おのれ、何楽しそうにしてんだよ大島たち!」
真辺が叫んだ。
「みっともないぞ、三人とも。」
「うるさい!!おれたちの気持ちは解らないでごわす!茂樹様のためにがんばったのに、お前らみたいな秘密結社に任せるなんて・・・。」
「とりあえず、このことは茂樹さんに報告させてもらうよ。」
大島はスマホで茂樹に連絡した。
少し話すと、『あいつらに代われ』と茂樹が言ったので、大島はスピーカーフォンにして画面を大内に突き出した。
「もしもし、茂樹様。この度は」
と大内が言った時だった。
「この、アホンだらがーーーー!!」
茂樹の激怒がスマホから流れてきた。
「なぜ大島に任せずに勝手なことをするんだ!そもそも、お前らがどうしようもない役立たずだったから大島を頼ったんだ!グズのクセに大島の足を引っ張るな!!」
「申し訳ありません・・」
大内の声が叱られた子どもみたいになっていた。若竹と真辺も何も言えなくなった。
「お前らは解雇だ!そして大島さんに処分してもらう!」
ここで大島は茂樹に言った。
「お気持ちは解りますが、彼らを許してあげてください。彼らはあなたのために最善をつくしてくれました、だから解雇は思いとどまってもいいのではないでしょうか?」
という大島に対して、茂樹は言った。
「大島さん、あなたは有能だけど甘い。失態を続けるやつは、すぐに切り捨てた方がいいんだ。最善をつくしたなんて言い訳にすぎない。大内たちの代わりは、金さえそれなりに与えればすぐに手に入る。だから、遠慮なく処分してくれ。」
茂樹の言い分に大島は一瞬怒った顔になったが、すぐに表情を戻して言った。
「それではせめて、東京へ帰る為の旅費を出していただけませんか?」
「わかった、それで手を打とう。それじゃあ引き続きよろしくな。」
そして大島は通話を切った。
「よって、君たちは茂樹から完全に見捨てられてしまったということだ。」
「茂樹さん・・・」
大内の目が哀しみと恨みに満ちていた。
「それで君たちは東京へ帰るか、私たちの修学旅行へついていくか、どっちにする?」
「え・・・?おいどんたちを、誘ってくれるというのか?」
「旅は大勢の方がいいし、君たちには協力してほしいことがあるんだ。その件については後で話すけど、今は旅に参加してみないか?」
大島が言うと三人は話し合った。
「わかりました、おいどんたちは大島さんについていきます!!」
「よし、じゃあ石木さんと安室くんと仲直りの握手だ。」
そして石木と安室は大内・若竹・真辺と仲直りをして、三人が新たに旅のお供となった。
そして新たな目的地、富山県へと向かった。
高速バスで四十七分、果たしてその先に何が待っているのか・・・?
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