第26話〜田舎道
俺の家と学校はそんなに遠くはない。普段と言うか、3年もずっと同じ道だし違和感を感じる事はないはずだ。
それなのに、本当に知らない土地に来たみたいで怖い。この道を切り抜けるため、俺は必死になって走った。
カバンがリズム良く体の動きに合わせて、ガシガシと体にあたってくる。しかし、そんな事を気にしている暇はない。
「はぁ…はぁ…」
道路に出た。ここの道路は結構車が通っており、信号機も変わるのも遅いせいか、たまに渋滞が起きている道路だ。
だが、今日は違った。無音だ、全く車も歩行者も居ない。ちょっと前までウザかった歩きタバコのおっさんでさえ、会いたくなっている。とりあえず人に会いたい。
「な、なんで誰も居ないんだ?これも夢なのか?それに…夕日も…」
あの道を走っても、最低10分はかかるはずだ。そもそも俺が起きてからもう30分以上経過しているはずなのに夕日まだ落ちない。
そもそもあれは夕日なのか?俺が夕日だと思い込んでいるだけであれはまた違うものなんじゃないか?あー考えても意味が分かんねぇーよ。
「…██…██…」
俺の心臓の音と息切れの音以外の音が聞こえてきた。砂嵐のような、聞き取れるか聞き取れないかの間でただその音が聞こえるだけだ。これって…
「██!」
後ろを振り返ると、やっぱりソイツは追いかけてきていた。俺に何の恨みがあるかは知らないけど多分コイツのせいで誰もいない、夕日も落ちないようになっているんじゃないか。という説が俺の中にある。
考えていては、あの化け物に何をされるか分からないのでまた走った。
「はぁ…はぁ…」
急に走ったので、口の中が血の味がする。これは相当やばいかもしれない。持久走やシャトルランでこの状態になると必ず休んだ方がいい、と俺の脳みそが言っている。
「ちっ、しつこいなぁ!」
「██…██…」
後ろを見てみるとペタペタと歩きながら、ソイツは俺を追いかけてくる。もう少しで俺は家に着くが、その場合コイツは家の中に入ってくるのだろうか?
そうなったら、絶対に俺の部屋を汚してくるだろう。それは避けたい。なら、まだ逃げ続けるしかないのか?
「とりあえず、走るか」
俺は近くの花屋まで走った。ここの花屋の店員は独特で毒の花か怖い花言葉がある花しか置いていない。ちょっとひねくれにも程があると思う。
「あっ!この
不幸中の幸いというのは俺にもあるようだ。アイツは歩くのが遅いからぶつける
あ、このデカいのはどうだろう。何か炎華の花に似たような花がついており俺よりデカい。これならアイツを
「そうと決まれば…」
「██…██…」
俺はそいつにデカい植木鉢を投げつけた。
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