2月11日(土)曇り時々晴れ 北の修学旅行その4
建国記念日の土曜日。
本日は修学旅行4日目……というか帰るための日だ。
札幌市内のホテルを出発して、最後にクラス全体で記念写真を撮った後、空港でお土産を買う時間になった。
昨日の自由行動でも少しだけ購入したけど、賞味期限が近い食べ物は今日購入するつもりだったので、しっかり悩みながらお土産を見ていく。
「良助くん、わたしも一緒に見ていい?」
「うん。一緒にいこう」
そう言われて断れるわけがないので、空港内では路ちゃんと常に一緒だった。
昨日、班の女子から僕について言われたということは……やっぱり女子の間では周知の事実だったのだろう。
今更隠しても仕方がないので、僕は人目を気にせず歩いてた。
「ちょ、ちょっと良ちゃん。岸本さんとは文芸部で一緒なのは知ってたけど……まさか……」
「まぁ……そういうこと」
「へぇ~! 大倉くんも知ってんの? 俺らにも教えてよー」
そのタイミングで会ったクラスの男子から似たような反応を見せられるけど、みんな祝ってくれる感じだったので、そこは良かった。
まぁ、来週からは何かといじられる回数が増えるかもしれないけど。
「路ちゃんは何か買って来て欲しいって言われたものある?」
「特には言われなかったけれども……海鮮が美味しい話は聞いたわ。一回だけ行ったことあるみたいで」
「さすがに海鮮は高いからなぁ。前にばあちゃんが北海道の幸セットを送ってくれたけど」
「おばあちゃんって……京都の?」
「ううん。父さんの方の。僕らと地元は同じだけど、旅行好きなんだ」
「そうなんだ。京都のおばあちゃんは一度会ってみたいけれど、会いやすいのはそちらのおばあちゃんかな」
「会わせてもいいけど……終わった後、僕はめちゃめちゃ疲れてるかも」
僕がそう言うと、路ちゃんは意味を察して笑ってくれた。
そんな身内向けのお土産を選んだ後は、文芸部のみんなに配るためのお土産を選んだ。
数日後はバレンタインだから暫く部室内は甘い匂いに包まれることになるだろう。
それから、飛行機に乗る前の諸々の準備を済ませた後、帰りの便に搭乗する。
行きよりは緊張感はないけど、気分が悪くなるかもしれないという意味では緊張していた。
「大倉くん……今後、僕はなるべく地上にいられるような生き方をしていくよ」
「ふ、普通の人はだいたいそうなるから。それこそ航空会社で働くとかじゃない限りは」
「やっぱり僕には自転車がお似合いだ……」
「ち、地上なら車や電車も使えるから」
その時間の半分くらいは大倉によくわからない弱音を吐いていた気がする。
1時間ちょっとで北海道まで行けることを考えれば凄く便利な乗り物なんだけど……僕には向いていなさそうだ。
そのまま空港に到着してバスに乗った後、それぞれ家から最寄りの場所で降りていく。
「りょうちゃん、おかえりー おお、両手に大荷物」
「ただいま。こっちは結構温かいね」
「えっ。普通に寒いんだけど、やっぱり北はもっと寒いんだ」
「うん。帰って来てから全然違うってなった。これ、お土産ね」
「わーい! 後でお土産話も聞かせてね」
3日ぶりの無邪気な明莉を見て帰って来たことを実感していたけど、思っていた以上に疲れたのか、その後は2時間ほど昼寝をしてしまった。
帰るまでが何とやらということで、僕の修学旅行は無事に終了した。
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