1月18日(水)晴れのち曇り 挑戦する清水夢愛その2
早くも折り返しの水曜日。
去年の2学期終盤から3年生は全員が登校しているわけではないようで、1階は少しばかり静けさが出てきていた。
それが1月の後半にもなると、受験本番前で来ている人は本当に限られていて、1階は本当に静かになっている。
「おお、良助。お疲れ様」
そんな中、僕は昼休みに清水先輩から呼び出されて中庭に向かう。
「お疲れ様です。今日はどうしたんですか?」
「共通テストが終わったからちょっと声かけようと思ったのと、今日は小織が休みで暇だったんだ」
「桜庭先輩、体調不良ですか?」
「いやいや、受験の関係で用事があるらしくてな。そもそも今は人によって授業ない子もいるし」
「あっ、なるほど」
「それより良助……彼女さんは連れて来てくれなかったのか?」
「えっ。そんな話してましたっけ……?」
「ううん。でも、自慢くらいしてもいいんだぞ?」
そう言った清水先輩は少しからかう笑顔を見せた。
だから、冗談だとは思うんだけど……清水先輩の前に直接連れて来るのはなかなか勇気がいる。
「そ、それよりも日曜はわざわざ連絡してくれてありがとうございました。本当は受験前にメッセージを送ろうか悩んでいたんですけど……」
「だろうと思った。遠慮せずに送っても良かったのに」
「で、ですよね。清水先輩はそういうのでプレッシャー感じるタイプじゃなさそうだし」
「その言い方だと私が鈍感って言われている気がするが、たぶんそうだろうな。ただ、良助が心の中で応援してくれているだろうとは思っていたよ」
「そう思って貰えるのはありがたいです。本番の入試前にはちゃんとメッセージ送るので……」
「ははっ、ありがとう。できれば小織にも送ってやってくれ。絶対プレッシャー感じるタイプじゃないから」
日曜にメッセージを送られた時もそうだったけど、清水先輩の話しぶりやテンションが少しだけ高いように感じた。
プレッシャーや緊張を感じるタイプではないのだろうけど、大きなテストが一つ終わった解放感は感じているのかもしれない。
「あっ、ちょうどいいタイミングなので……今度の修学旅行でお土産の希望とかありますか? 去年は希望を聞いて貰ったので」
「おお、そういえばこの時期か。うーん……カニとか?」
「えっと……カニ風味のお菓子のことですよね?」
「どっちだろうな?」
「そんなことを言われたら本当に送りますよ?」
「ウソうそ。私は甘すぎないモノじゃなければ何でもいい。ある意味カニ風味は正解かもしれない」
「了解です。行く前にちょっと調べてみます」
その後も昼休みが終わるまで、清水先輩と何でもないことを話し続けていた。
今日は用事があった桜庭先輩も含めて、この時期は大変だろうけど、少しでも休憩時間になったのなら幸いだ。
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