1月3日(火)曇り 祖父母宅での冬休みⅡその2
冬休み11日目。
今日帰ることになるので、父さんは午前中完全に停止して気力を貯めていた。
Uターンラッシュに直撃してしまうなら予定をずらしてもいいと思うけど、他の家庭も含めてこの日が一番都合が良いのだろう。
一方、僕と明莉もダラダラとしてはいるけど、テレビのラインナップが微妙だったことから少々退屈していた。
「良助と明莉。久々にこれでもやってみるかい?」
そんな雰囲気を察したのか、ばあちゃんはトランプを持って来てくれた。
少し黄ばんだカードは長らく遊んでいなかったのがよくわかる。
最近は退屈してもスマホで何とかなっていたから小さい頃以来の登場だ。
「おー、この柄なんか懐かしいね。おばあちゃんも参加する?」
「そうだねぇ。せっかくだからやろうかねぇ」
「よーし。じゃあ、まずは……七並べから!」
そう言って明莉は僕とばあちゃんに向けてカードを配り始める。
今日は母さんと出かけているというのもあるけど、小さい頃からじいちゃんはトランプには参加したがらなかった。
逆に正月らしいたこ揚げやこま回しをする時だと張り切って教えてくれたような気がするので、じいちゃん的な遊びの好みがあるのだと思う。
対するばあちゃんは難しいゲームはわからない時があるけど、インドア派の遊びには積極的だった。
「そういえば去年……じゃなくて、一昨年か。家でもトランプやったよね」
「あー、その時以来か」
「家でも2人で遊ぶことがあるのかい?」
「ゲームで遊ぶことはあんまりないけど、雑談はよくしてるよ? なんてったって仲良し兄妹だもん」
「それはいいことだねぇ」
明莉の発言にばあちゃんは本当に嬉しそうな反応をする。
ばあちゃん的には僕と明莉の仲が昔から変わらないのは、喜ばしいことだと色々な反応から察せられる。
だから、明莉もわざわざ口に出したのだろう。
「うー……ずっとクローバーの9止めてる人いるな……まさかおばあちゃんだったりする?」
「どうかねぇ。それで言ったらスペードの5も止められてるから困ってるよ」
「りょうちゃん。さっき露骨にパスしたよね?」
「どうかな?」
それはそれとして、トランプゲームの方はかなり真剣に楽しんだ。
思い返せば小さい頃の僕と明莉は、ばあちゃんに勝てなかった気がするので、駆け引きできる今はかなり成長していると思う。
それをばあちゃんが感じていたかはわからないけど、ばあちゃんも楽しそうにしていたから、良い時間になったと思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます