12月11日(日)曇り時々雨 大倉伴憲との日常その25

 少々不安定な天気だった日曜日。

 本日も先週と同じように午後からは大倉くんと一緒に図書館で勉強した。

 普段ゲームで遊んでいる時は直接会う方が少ないので、テストの時の方が一緒にいる時間が長くなっているのは何だか不思議である。


 大倉くんの方は僕と一緒に勉強し始めてから集中できている実感があるようなので、少し遠い場所まで来て貰ったかいはあった。



 そんなテスト勉強の休憩時間中。館内の本を見ながら少しうろついていると、ある場所で大倉くんの足が止まった。

 それはゲームや情報分野に関する本が並べられている棚だった。


「ネットばっかりじゃなくてこういう本も読んだ方がいいんだろうなぁ……」


「本を借りるならすぐに手続きでカードを発行できるよ。ちょっと遠いけど、返す時はカードの提示いらないから、僕に預けてくれたらいいし」


「えっ!? そ、それはちょっと悪いから」


「いやいや、全然。それに……こういう本、結構高かったりするんじゃない」


「それは確かに……」


 図書館はそのためにあると言うのは言い過ぎかもしれないけど、実際に何冊も購入するのが難しい本は借りるのが一番だ。

 その上で内容を気に入ったり、何度も読み返したいと思えば自分で購入すればいい。

 僕自身は最近それができてないけど、有意義な図書館の使い方だと思う。


「じゃ、じゃあ……テストが終わったらまた来てみようかな。2回目だけど、何だか落ち着く場所だと感じ始めてるし、他に勉強したいこともここだと捗るかも」


「うん、いいと思うよ。僕も……先のこと考えていかなきゃ……」


 そう言いながら僕は目の前の棚から適当に本を取り出してみる。

 『今からでも間に合う!』というキャッチコピーが付いた本だけど、その今とはいつのことを指しているのか。

 少なくともこの期末テスト前の時点なら、色々と間に合うと僕は思っている。

 でも、明確な目標を掲げている大倉くんと比べると、出遅れている気もしてしまう。


「……よし、休憩終わりにしようか」


「う、うん。眠くなる時間だけど、ラストスパートがんばらなきゃ」


 テスト終わりには色々イベントがあるけど、それが終わったら今度は僕が大倉くんに目標を言えるようになっておきたいと思った。

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