2年生夏休み
7月21日(木)曇り時々雨 再び夏休みが始まる
夏休み1日目。その始まりは相変わらず梅雨が延長した感じで、去年もそうだったろうかと日記を見返したところ、1年前のこの頃は晴れの天気が続いていたので、今年の天気がおかしいようだ。
そんな初日は明莉も休みに突入したことからまた暫くは昼食を作る日々が始まる……と思っていた。
「あかり、明日は正弥くんと出かけるからお昼は作らなくていいよ」
「がーん……」
「うわ、口でがーんって言った」
明莉はちょっと引いてくるけど、僕は本当にショックだった。別に昼食を作るのは面倒くさくなかったし、何なら久しぶりに明莉とゆっくりできるなぁと思っていたのに。
「さ、3年生勉強がんばる話はどこへ行ったんだ! 初っ端から遊びに行くなんて!」
「わかってるって。明日は一応一緒に勉強する予定だから」
「そ、そうなんだ」
「うん、正弥くんの家で」
「がーん……」
「それマイブームなの?」
「違うけど……そうか、明日から僕一人か……」
「いやいや、明日だけの話だって。毎日行くわけないでしょ。それによく考えたら明日はりょうちゃん部活行ってるんじゃないの?」
「あっ、そうだった」
ショック過ぎて頭から飛んでいた。絶対にいかなければならないわけじゃないけど、基本暇な副部長が行かないのは良くないだろう。
「まぁ、夏休み中はこういうことよくあるかもだから、その時は報告するね」
「りょ、了解です……桜庭くんの家かぁ。ここから遠いの?」
「遠くもないし近くもないよ。詮索しないで」
「別にいいじゃないか。付いて行くわけじゃあるまいし」
「そう言われると来そうな感じするんですけど……それより今日の昼食は何?」
「よし、久しぶりに明莉の好きなオムライス作るか」
「えっ、いつの話してるの? もう食べ飽きたよ」
いつの話かと言われたら、だいたい去年の話だ。最初に作った時に好評だったオムライスも今やこの扱いである。まぁ、僕が擦り過ぎたせいかもしれないけど。
「そろそろ新しいレシピを開拓していこうよ」
「作る側の気持ちになって欲しいんだけど……新しい挑戦も必要か。ちなみに何が食べたいとかある?」
「うーん……かつ丼」
「揚げ物は無理だ。あと、たぶん買った方が絶対美味しい」
「じゃあじゃあ、今日は出前取るとかどう?」
「初日から出前なんて取るもんじゃないよ」
「初日だからこそ豪華に行くのもありだと思うけどなぁ」
「駄目駄目。なるべく冷蔵庫にあるもの使わなきゃ。この材料なら……焼きそばかな」
「またぁ? 結局りょうちゃんのローテーションは焼きそば、パスタ、チャーハン、オムライスじゃん」
「4品もあるじゃないか。それと夏はそうめんもあるし。ほら、作るから飲み物とか色々準備しといて」
明莉は不服そうにしながらも僕の指示に従う。でも、完成した焼きそばは普通に美味しいと言ってくれた。明莉は知っているけど、忘れがちだ。僕のローテーションの中でもちょっとずつ味を変えて出しているのだ。
でも、自分で食べていても飽きが来るのは確かなので、今後貴重になるかもしれない明莉との昼食タイムを充実させるためにも新しいレシピを見つけてもいいかもしれない。かつ丼は……とりあえず保留で。
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