7月3日(日)曇り 明莉との日常その55

 久しぶりにほんの少しだけ涼しい日曜日。明日からの5日連続のテストが待ち構えているので、今日はより緊張感を持ってテスト勉強を進めていかなければならない。


「りょうちゃん、ここちょっと聞いていい?」


 明莉もその空気に乗ってくれたのか、今日は真面目に勉強を進めていた。まぁ、明莉にとっても3年の成績が受験にも大きく反映されるので、がんばりどころではる。


「ふわぁ……今日はがんばったなー うわっ、雨降り出した!」


 そんな中での休憩中、突然の夕立が振り始める。梅雨の間は全然降らなかったから、本当に久しぶりの雨だ。


「これも台風の影響かな」


「そういえば台風っていつ来るんだろ……ふむふむ。火曜か水曜辺りが直撃みたい」


「というか、今週はずっと合羽来ていかなきゃいけない可能性あるな……」


「あかりは送って貰うようにしようかなぁ。ちょっと早めに出ないとだけど」


「うーむ。それも1つの手か」


「……前々から気になってたんだけど、りょうちゃんって登下校は基本自転車で行こうとするよね。なんで?」


「なんでと言われても……正規の通学手段だから?」


「それが理由なの? てっきり小学生が冬でも頑なに半ズボンにするみたいな、なんか強いこだわりがあるのかと思ってた」


「えっ。逆に何でそう思われてたの」


「だって、たぶん高校入ってから車で送り迎えして貰ったこと1回もないじゃん」


 そう言われて思い返してみると……全然覚えてないからわからないけど、雪が降っても徒歩で行くから明莉の言っていることが合ってる気がする。


「言われるまで気付かなかった」


「お母さんに言われても自転車で行くからいいって言ってたよ」


「それも遠慮とかじゃく無意識だって。もしかして僕の前世は自転車に強く惹かれる人物だった……?」


「えっ。それってつまりサドル泥棒とか?」


「どうしてそこをチョイスしたんだ。そういう惹かれ方じゃないよ」


「でも、りょうちゃんはトライアスロンしてた人とかスポーツ系の魂は引き継いでないと思うし」


「何も反論できない」


「それ言うならあかりは甘いモノに惹かれるからきっと前世は織田信長だよ。甘いモノ好きだったらしいし」


「へー……いや、随分デカいところに行ったな。うちの妹は織田信長の転生だった件……」


「もしかしてそういう作品あるの?」


「探せばありそう」


「…………」


「…………」


「りょうちゃん、今日は脳死で会話してるね」


「仕方ない。今日はひたすら真面目だったから」


 そう言うと明莉も疲れた様子で頷いた。

 

 かなりふわふわした話にはなったけど、テスト勉強の方は宣言通り緊張感を持ってできていたから、たまにはこんな会話だけで終わる日もあっていいだろう……とまだ微妙に疲れるくらいにはがんばった。

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