6月20日(月)曇り 大倉伴憲との日常その15

 蒸し暑さが続く中始まった月曜日。個人的に色々あった先週・先々週と比べると平和なスタートになったと思う。


「う、産賀くん……ガシャ爆死した……」


 大倉くんのこんな発言から今日の記録が始まるくらいには。だけど、それは決して笑って済む話ではない。


「そういうえば昨日新しいピックアップしてたね。ちなみに課金は……」


「……3,000円だけ」


 お金を入れているということは、今まで貯めていた分は何の成果もなく消えていったのだろう。人の爆死はメシウマだと言われることもあるけど、さすがに普段遊んでいる友人が受けたとなると心が痛む。


「そういえば部活の後輩も課金について悩んでたよ。そっちはたぶんスパチャの話だと思うけど」


「あー……う、産賀くんはあんまり課金の話聞かないけど、実際のどうなの?」


「僕はゲームならソフトを買うのに使いたいと思っちゃうからソシャゲにはあんまり入れないなぁ。確定ガシャくらいだよ」


「け、健全だ……聞いた話だと同級生でも万単位で課金してるって子もいるのに」


 それになりかけていたのはまさしく先日の日葵さんだ。僕や大倉くんの場合はそもそも払えないから、そこで悩むことがないのに。


「そういう話を聞くと、密かにバイトしてるんじゃないかと思っちゃうなぁ。そうじゃないと、めちゃめちゃお小遣い貰ってることになるし」


「そ、そうか……バイトさえすれば……」


「大倉くん?」


「い、いや、その前に勉強しろって話だよね。でも、この夏からまたゲームもいっぱい出るし……くぅ……」


「まぁ、気持ちはわかるけどさ」


 それで見つかってしまうと、面倒なことになってしまうので、僕は絶対に隠れてバイトできない。しかもその理由がゲームのためなのだから余計に後ろめたくなってしまう。


「僕も最近はちょっと出かけたりして出費がかさんでるし、それで出かけるための服を買ったりも……」


「……産賀くん。それってデートの準備をしてたった、ってこと?」


「はっ!? いや、デートではない、よ」


「わざわざ服を買いに行くなんてそうとしか思えないんだけど」


「……ご想像にお任せします」


「こ、これは松永くんと本田くんに報告しなきゃ!」


「それは勘弁して!」


 そんな話に繋がると思っていなかったので、最近のお金の使い道をポロリと言ってしまった。

 そう考えると、僕も清水先輩と会うために課金というか、投資というか、ともかく少しお金をかけているところはある。

 だけど、準備している段階ではお金について特に気付かなかったから……いや、この話と課金のことを一緒にするのは良くない気がする。ゲーム優先脳もほどほどにしようと思った。

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