2月28日(月)晴れ 花園華凛との日常その5
2月最終日の月曜日。本日は前々から宣言していた花園さんの誕生日である。ただ、本格的にお祝するのはテスト後になるので、今日はとりあえず家を出る前にLINEでメッセージだけ送った。
それから教室に到着すると、その間に花園さんから返信が来ていた。
――ありがとうございます
――後日盛大なお祝いをして貰えるようなので期待しています
なぜか話を大きくなっているけど、後日祝うことは本人に伝えられていたようだ。今のところ何も考えていないからプレゼントくらい考えて始めていいかもしれない。
そう思って未読部分をスクロールしていくと、返信には続きがあった。
――ところで
――先週の水曜日辺りからミチちゃんが少し元気がなかったのですが
――何か心当たりはありませんか?
その質問を見て僕はどきっとしてしまった。花園さんがどういうつもりで聞いているのかわからないけど、その見当は当たっている。
ただ、岸本さんがあのひと悶着について花園さんに話していないのなら僕から明かしても良いのだろうか。発端が花園さんの誕生日から来ているのだから本人には伝えづらいと考えた可能性もある。
とにかく岸本さんへ確認を取ろうと思って別の画面を開こうとすると、またLINEにメッセージが入ってきた。
――既読無視ですか
――つまりは心当たりがあると
ちょうどトーク画面を確認していたらしく、そう思われてしまう。いや、心当たりがあるのは本当なんだけど、ちゃんと返信するには時間が必要だった……と僕は心の中で言い訳する。
しかし、それに対する返信もなかなか思い付かないからまた既読無視になってしまいそうだと焦ってしまう。
このままだと話がややこしくなってしまう可能性も考えた僕は……トーク画面で長文を撃ち始める。結局、岸本さんの許可なしに全てを打ち明けることになってしまった。せっかくの誕生日だというのに、朝からこんなことを聞かせてしまうなんて花園さんに申し訳なく……
――はい。先日それは聞きました
――なので、今日のミチちゃんは元気そうです
――現場からは以上になります
「……へ?」
予想していなかった返信に僕は固まってしまうけど、続けてまたメッセージが送られてくる。
――リョウスケが素直な人で良かったです
花園さんのメッセージは一旦そこで打ち切られた。
つまるところ、花園さんは最初から全部わかった上で僕に質問してきて、僕がどういう返信をするのか試していた……のかもしれないし、単にいつも通り冗談で遊ばれたのかもしれない。
その意図を本人に聞くのは勇気がいるので、この日は改めてお祝いのメッセージを送るだけになったけど……素直に言えて良かったと思っておこう。
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