11月8日(月)曇り時々雨 大山亜里沙との距離間その11

 筋肉痛を抱えて迎えた月曜日。日頃の運動不足を再度実感しながら授業を受ける中、今日は体育があるので、僕の体はかつてないほど動かされる……というのは大袈裟だけど、それくらい疲れていた。


「大丈夫か、良ちゃん?」


「大丈夫。ありがとう、本田くん……」


「この休みにそんな激しい運動したのか。それとも筋トレ?」


「えっと……まぁ、そんなところ」


 昨日同じ場所に居たことに本田くんは気付いていなかった。そうなると、大山さんは僕と会ったことを話していないということだ。最近参加していない奴が他のグループで来ていたら話題に出しづらかったのかもしれない。


「お疲れ、うぶクン」


 そんな大山さんが急に話しかけてきたのは放課後のことだった。いや、同じクラスにいるのだから急になんて言い方はおかしいんだけど、大山さんはいつもなら恐らく部活に行っている。


「そっちもお疲れ。何か用事?」


「用事ってわけじゃないんだケド……」


 大山さんはそう言いながらもなかなか次の言葉を出してこない。思い当たることがあるとすれば……昨日会った件だけど、それで何を言われるのか。やっぱり最近参加していないことについて理由を言うべきなんだろうか。


「……うぶクンさ、今週どっか暇な時間ある?」


「えっ? 暇な時間って放課後の話?」


「そうそう。ちょっと相談があってさ。文芸部っていつやってるんだっけ?」


「火曜日と金曜日だよ。それにしても僕に相談って……」


「わかった。じゃあ、水曜と木曜のどっちか空けるから、また連絡するね!」


 大山さんは明るくそう言ってその場から去って行った。僕の聞き間違いでなければ相談と言われた気がするけど、わざわざ時間を取ってまでする相談とは何だろうか。

 

 最近の大山さんから想像できる要素としては……本田くんだ。二人の雰囲気がいい感じになっているならもしかしたら大山さんの方から何か動きがあるのかもしれない。そうなった時、本田くんの情報を話せる相手に相談する。それで僕が……それなら松永の方が適任な気がする。

 

 でも、敢えて僕に相談するということは僕には想像できない理由があるのだろう。僕にできることは……指定される日までに本田くんの好物とかを聞き直しておくことだ。

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