7月12日(月)雨のち曇り 松永浩太の昔話その4

 週明けの期末テスト後半戦。気を緩めずテストに挑み終わって、雨が降ったり止んだりする空の下で松永と帰宅していた。


「最近のりょーちゃん、女の子に呼ばれ過ぎじゃない? やっぱモテ期……」


「たまたまだって。それより松永」


「あー!? 誤魔化したなー!? 文芸部の岸本さんと何があったんだー!?」


 それについては昼ごはんを一緒に食べたことは言わずに、勉強したことだけを言っておいた。今日の僕が喋りたいのはそういう話題ではない。


「夏休みって何か予定ある?」


 昨日、明莉に言われたことが微妙に引っかかっていた僕は遊びに強い松永の様子から窺うことにした。恐らく松永は僕が一緒にいなかった時間も中学時代は中学生らしく夏休みを過ごしていたに違いない。そんな松永に聞けば高校生らしい夏休みがわかるかもしれない。


「んー? ノープランだけど」


「ええっ!? 松永なのに!?」


「俺だからって何さ。別に今までの夏休みもそういう感じだったし」


「でも、中学の時も僕と遊びに行く以外でもいろんな所へ行った話を聞いたような……」


「まー、部活仲間なり、家族なりで行ったけど、しっかり予定立てて行ったというよりは唐突に行きたくなった感じだから」


「そういうものか……」


 てっきり明莉みたいにある程度夏休み前に予定が決まっていると思っていた。でも、衝動的に行きたくなる方が、若者っぽい感じがする。何となくだけど。


「話を振ってきたってことは何か行きたいところあるの?」


「いや、別に」


「ないんかーい」


「ちょっと聞いてみたかっただけ。松永はよく誘ってくれるし」


「そうだよー たまにはりょーちゃんから誘ってくれてもいいんだよ?」


「す、すまん。僕が予定の立て方下手だから……」


 根本的なことがわかった。僕はそもそも誰かを巻き込むような予定を立てらないタイプだから一人でダラダラ過ごす方がいいと思ってしまうのだ。誰かと遊ぶのは普通に好きだけど、誘われない限りは動けない。


「いいよ。ゆうてもりょーちゃんは誘えば絶対来てくれるタイプではあるし」


「そう言って貰えるとありがたい」


「まー、俺の方はこの夏休みもなんかあったら誘うから、りょーちゃんも遠慮せずに言って。あっ、たぶん、夏休み中も何回か家にはお邪魔するわ」


 そんな僕がなんだかんだ毎回夏休みに少し外に出て楽しめているのは松永を始めとする周りの友達のおかげなんだろう。僕も少しは誰かを誘えるよう、がんばってみてもいいかもしれない。

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