第16話

――――ピーーンポーーン




「宅配便で――――す」




「はーーい」




 家で昼ご飯を食べていると、荷物が来たので受け取った。今日は久々の休日で、のんびり家で、疲れを取っていた。




「お父さんからだ、また野菜?もう疲れて、家事なんてできないのに……腐らせちゃうじゃん」




 春以来のお父さんからの荷物だった。休日まで、疲れさせることをしないでよと、冷蔵庫へ、野菜を適当に詰め込んだ。




 社会人を始めて、半年ほど経った。私は業務を沢山覚えて、処理も早くなった。しかし、遅い帰宅は変わらないし、休みなんて滅多に巡り合えなかった。それが、当たり前になっていた。




 今日は久々の貴重な休みだからと、横になる。十月の心地よい空気が外から入り込み、私の心をまっさらにする。




「もう、何も考えたくない」




 考える元気は、私にはないのだ。深い眠りの中で休みたいのだ。




 十八日ぶりのお休みは、脳内が活発に動いてくれることもなく、お出かけなんてできるわけもなく、ただ、カップ麺をすすって寝ているしかなかった。




 私の頭は、ただ、毎日寝ることだけしか、考えることが出来なくなっていたのだ。もう、明日には、仕事へ行かなければならないと、胸がチクチクした。




 このチクチクが大きく増えているなんて気が付けないまま、私は苦しい毎日を繰り返していた。

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