エイプリールは、ウメチカ劇場。

大創 淳

第一回 とろけるような世界観。


 ――それは、春のせい? 甘く漂う苺パフェのような香り。誘われる百合。



 四月。優しくも甘い嘘。


 でも、嘘に嘘は真実に。……肌で感じること、目で見ることは真実だから。

 そこで起こる出来事は小説よりも、きっと奇となる事実。もう一つの真実。


 ――まるで、お昼のワイドショーみたいな出来事だ。



 春の陽気。桃色のカーテンから零れる明るき日差し。自分でも驚くほど、艶っぽい吐息交じりの声。寝起き……お隣に眠る人がいる。感じる体温。それに顔も近し。


 同じベッドの上で、同じお布団の中……

 僕と瓜二つの顔の、身も心まで裸で……何もかもを知っている仲。恥ずかしいことも。


 なぜなら、同じお母さんのお腹の中に、一緒にいた子だから。同じ血が流れている。まさしく血を分けた姉妹で、それでいて同じ日に誕生で、一卵性双生児だから。



 ただ、異なる環境で育った。


 お互いがお互いを知ったのは、つい最近……


 だから知り足りない。もっともっともっと愛。……ときめき? 高鳴る鼓動、ハートが燃ゆるほどビート? 明らかに顔から火が出そうなほど、熱を帯びるこの感覚。


 これって、好きは好きでも恋?


 だってだって僕には、恋人がいるのに男の子の。それでも、たまらなく胸が。恋と同じ感覚。何で? 何で梨花りかにトキメクの? 僕の双子のお姉ちゃんなのに。しかも同じ女の子なのに。いくら僕の一人称が『僕』だからって、ちゃんとした女の子だから。


 ……なら、この後、証拠を見せてあげるから。


 梨花が目覚めて一緒に朝シャンする時、僕も梨花も裸になるから。僕の名前は千佳ちか。まさか自分が百合になろうとは、夢にも思わなかったことが……綴られることとなるの。



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