第19話 卒寿

 宮城県岩沼市玉浦の農家の王城寺原演習場 陸軍の退役軍人だった祖父は気仙沼の祖母と恋愛結婚を果たし、船大工として生計を立て腹が減って帯を巻いて生活してた。


 祖母は魚の加工場で働き、父と母の貯金と折半して私とだいたい同い年のこの家を建てた。勤労感謝の日に九十五歳で大往生の老衰だったが、初めて父はありがとうと言われたと驚いていた。


 祖母が死んだ際は自殺未遂をはかった父だったが、死後、干支七十二歳の時に歌会始のお題が実だった事が父の名前と同一で、それから父と挨拶を必ず交わすようになり、尊敬できるようになって来た所だ。

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