タンゴのリズム
ご飯をよそう。
ものすごくリズミカルに。
1,2,3…1,2,3…。
それはタンゴのリズム。情熱的なあきたこまちにふさわしい。時に絡み合いながら時にパートナーと指先というはかなくも頼りない一点でつながりながら、強拍と弱拍を意識した足運びを意識して。より情熱的に。さらに情熱的に。1,2,3。
こうしてよそわれたご飯は果たして普通のご飯だろうか。そう、普通のご飯だ。
味の違いは何もない。ただの白米。牛にベートーヴェン聞かせりゃおいしい肉になるとかそういうのはない。一切。
しかしご飯をよそうときはタンゴのリズム。
これは決まり、ルール、規律。なぜ膝丈までのスカートでなければいけなかったのか。意味なんてない。そう、そういう決まりだから。決まりとは絶対。守ることに意味がある。意味が守ることによって生じる。それがルール。
ご飯をよそうときはタンゴのリズム。
有史以来人間が守ってきた黄金比。なにせタンゴもリズムもゴハンもみんな3文字。親和性100%。他の入り込む余地なんてない。
ご飯を演歌のリズムでよそって見ろ。そんなくさい飯食えない。
……
…
なに?演歌も3文字だって?冗談言っちゃいけない。君ともあろう人が概念的3文字と本質的3文字を見分けられないなんて。私は悲しい。とにかく悲しい。とても情熱的に。
しかしながら。そう言われれば黙っていられない。明日演歌を4文字に変えてくれるように日本演歌協会に掛け合いに行こうではないか。
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