第5話「山内悟志」

二週間後竹田京子は病院から退院した。

退院後二日間は自宅で安静と担当の医師から言われていたので、京子は退院後三日たってから会社に行くことになっていた。


竹田は会社に連絡してその事を話した。


「はい、そう言う事で、迷惑をかけましたと皆さんにお伝えください。

それと、三日後は病院に行ってから会社に行くので、申し訳ありませんがちょっと会社に遅れます。済みません。」


「わかった。命に別状がなくて良かったよ。

安心したよ。

森が心配してたぞ、病気したことがない竹田が病気したって。

田中も心配してたぞ、あいつでも風邪ひくんだなって。」


みんなの笑い声が聞こえる。


「それじゃあ、お願いします。」

竹田はそう言って電話を切った。


「全く先輩達は、いったい私を何だと思っているんだか?早く治して会社に行かないと

まずは安静にしておかないと」竹田はベットで眠りについた。


目を開けると夕方だった。

「えー。もうこんな時間❗夕飯作らないと」

そう思っていると、

「宅配です。」と玄関で声がした。


宅配?頼んでないけど?誰から?


「ではここにサインを」


「森 田中と書いてある。お総菜セット温めるだけ」と書いてあった。


「先輩。」竹田は感謝で涙ぐんでいた。


三日後私は病院に行って簡単な検査をした。

異常はなかった。

検査が長引き会社に着いたのは

お昼過ぎになっていた。


竹田は森と田中に御礼を言おうとした。

森には御礼を言ったが、田中の姿はなかった。


「森先輩、田中先輩は?」竹田は聞いた。


「それが~。」森は何かを言おうとしたその時だった。社長と山内がこっちに向かってくる。


「第三営業部のリーダーは、今日から「山内」君に任せる事にしたよ。よろしく頼むよ「山内」君」


「私みたいなものが、リーダーなんて信じられませんがよろしくお願いいたします。」


そう話した。

「待ってください、社長。山内君はまだ、日が浅いしリーダーは人をまとめる力がないとダメだと思うんです。田中先輩はどうしたんですか?」


「田中先輩はみんなをまとめられる素晴らしい先輩でした。田中先輩の方が向いていると思います。」


竹田は社長に言った。


社長は、竹田に言った。


「馬鹿言っちゃ困るよ、田中は自分の後輩を使って、山内君をいじめてたんだよ。パワハラをする社員はうちにはいらない。だから辞めてもらったんだよ。」


社長はそう言った。


「それじゃあ頼むよ。」

そう言って社長は別の場所に移動した。


山内は言った。


「じゃあ新規の御客様の資料を、パソコンで整理してくれ。」


「こんなに新規の御客様?誰が契約を?」

竹田は尋ねた。


山内は笑って


「私ですが、三ヶ月もあればこのくらい普通ですよ。あれ?森先輩、まだ20人ですか?三ヶ月もあったのに何してたんですか?

森先輩も、私を馬鹿にしていましたよね?

側で見ていたのに注意もしなかった。

社長に、言いつけられたくなかったら仕事しろよ❗」


「いいか❗三ヶ月で50人契約しろよ❗大手の会社に行けばそのくらい普通だろう❗」


そう言った。


竹田達は新規の契約者さんを手分けしてパソコンに

入力した。


竹田は山内のブラインドタッチの速さに驚いた。


森が言ったように山内はまるで何かに取りつかれているような感じに見えた。


竹田は昼休みに森と話した。


「本当ですね。昼休みも延長で仕事をしている。」


「まるで何かに取りつかれているみたい。」


森は話し始めた。


「竹田が、入社する前、竹田の席の隣に座って働いていた人は「山口優矢」と言って新卒で入社してきたんだよ。

凄くパソコンが速くて気が効いていて、パワハラとかを絶対に赦さない。正義感のある男だった。

どんどん出世してあっという間に社長の一番近くにいたんだ、ところが上に出世した彼は、仕事の重圧からノイローゼになって。」


これ以上は言えない。

あとは自分で調べてくれ。


そう言った。


「竹田、君は入社する前は、外国にずっといたんだよな?日本のニュースを知らなくて良かったよ。


アイツは「山口優矢」に、そっくりになってきた。


俺は会社を辞めようと思う。

竹田、悪い事は言わない。

君も早いとこ辞めたほうがいい。


資料室にこの会社の事が書いてある、調べたほうがいい。


森は次の日から会社に来なくなった。


急に田舎に帰ったと聞いた。


森だけじゃなく当時の事を知っているらしい、

先輩達は次々と辞めてしまった。


竹田は仕事が忙しく、資料室になかなか行かれない日々を送っていた。


最後に辞めると言う「木村桃子」先輩に話を聞いた。でも、少ししか話を聞く事ができなかった。


「そんな、そんな事がー。」


竹田は言葉を失った。


続く





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