第34話 晴雨

「あの、すいません」

「はい?」

 とある休日。

 彼女は、道で爬虫亜族レプティスの女性に声を掛けられた。服装からして外の大陸から来た観光客とすぐに分かった。声をかけてきた理由は案の定、東大陸国ジペングニア特有の現象である"空魚くうぎょ"についてだった。特にここ、霊峰白渓はっけいがそびえる練島ねりじまでは、頻繁に見られるため、春月・秋月は特に観光客の来訪が増える。

 彼女のような妖霊族もののけの類いが、空魚くうぎょなどの粒子パテ氏が関わる事象に敏感である事もよく知られるようになった。

「そうですね。今日は…」

 出逢える望みは少ないと言おうとした時だった。

 青が占めていたばずの空から、大粒の雫が降ってきたのだ。慌てて近くの軒下に避難する二人。

天気雨てんきあめですか」

「ここでは晴雨はれるやと言います」

「はれるや?」

「すぐに止みます。その後ならきっと出逢えますよ」

 空気中の不純物が地上に流れ落ちた後は、粒子パティの集約が起こりやすい。

 そして、彼女の言葉は現実のものとなった。

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