第二十四話 天焦がすは神剣、宙零れしは流星――交わらぬ交差の果てに決着を

「ヘイツの件は悪かったな――」


 

  

 〔――”炎剣一つに輪も一つ”――〕

 

 

 

「何か仕出かしてたってのは知ってたが、まさかあんなことをやらかすとはな。

 思いもよらなかったと言っても言い訳になっちまう……まあそれも今更だ」

 

 

 

 〔――”剣より移りて輪は燃ゆるなり”――〕

 

 

 

「何かにつけ俺の名前を使って好きなことしてた奴だった、それじゃあ不味いと気付かせるためにこの機会に距離を置いてみたのが失敗だったな」

 

 

 

 〔――”輪炎廻りて火の粉散り、散った火の粉がまたも輪となる”――〕

 

 

 

「だから安心しろよ、これはその報復ってわけじゃあねぇ」

 

 

 

 〔――”積み重ね、紡ぎ重ね”――〕

 

 

 〔――”やがて至るは七炎星”――〕

 

 

 

「――とは言ってもだ、下の奴等がやられっぱなしで平気な顔でいられるほど、俺は懐の深い奴じゃねぇ。

 ――だから」

 

 

 

 

 

「――〔――”私念の道へと身を捧げ、いざや掲げん、輪廻の剣を”――〕 

 

 

 

 

 

 ――《七輪炎廻バーンリングス煌星却剣メルトバルムンク》――

 

 

 

 

 

 ――とばっちりだが、勘弁しろよ?」

 

 

 

 そうして――そうして自身の気持ちを謳いながら、ガルドロフは。

 長々とした、されど流麗な詠唱によって、剣から生まれた一つの輪から、一回り大きな輪を作り。

 また一つ輪が出来てはまた出来てを繰り返し――六度。

 

 始めの輪を含め七つの輪炎が、木の年輪のように彼の背中へ浮かび上がり――外側から順に会場から覗く空へと伸びて、一番上まで届くんじゃないかという、一本の超大なる剣の形へとその姿を変形させて僕たちの前へと出現させたのだった。

 剣の切っ先へといく毎に幅広となるような、一種異様な形態のそのつるぎ

 思いもよらないとはこちらの台詞だ。

 このあまりにも巨大な魔法剣が秘める魔力と、ただそこにあるだけのくせに肌を焦がさんというほどの熱量を生じさせているこの状況によって相手の――ガルドロフの本気を見せつけられていた。

 

「デケェな……」

「ああ、言うだけのことはある。まさかこんな奥の手を用意しているとはな」

 

 これは――駄目だ。

 正直言って、どうにかなると思っていた。

 ガルドロフの実力はレイシアと互角というのを聞いていたからこそ、彼女に任せておけば後の二人をどうにかすればこの試合は勝てるのだと、とある意味気楽に考えていたのだ。

 だがそれがあくまで憶測や希望的妄想の類いであったことは、ことここに至って認める他ないだろう。

 

 

 

 あれこそが――ガルドロフ=バーンリングスの切り札にして奥の手……!!

 

 

 

 ガルドロフが発動させたのはただの詠唱魔法ではない。

 魔法名を唱える前にしていたあの詩のようなものは、僕ら魔法士でいうところの”最上級魔法”――これを使うために神へと助力を乞うための”祝詞”だ。

 自らの魔力を呼び水にして神の力の一部を行使する、限られた人間にしか扱えない”極致の魔法”……一度発動さえすれば千を越える魔物をこの世から消し去るとすら言われている。

 その性質ためよほど熟達した者でなければ与えらた力に耐えきれず、制御に失敗しようものなら心身共にに多大な負荷を受けることになり最悪の場合は廃人となってしまう。

 

 故に一瞬たりとも気が抜けない、正に神業の領域。

 だが奴はそんな素振りなど微塵もなく、両の脚でしかと地面に立っている。それだけでガルドロフが完全に最上級魔法を制御化に置いた、学生の中でも規格外の実力を持っていることを思い知らされる。

 

 僕も師匠に話だけは聞いていたが、実際にこれを見せられれば奴の恐ろしさくらいは理解できる。

 まさか、だ。

 まさか学生でありながらそれを扱えるなんて、僕たちにどうやって想像しろというのだろう。

 これは流石に――

 

 

 

「――なに諦めてるのよ、こんなところで」

 

 

 

 見誤っていた、相手の言動から勝手に実力を想像し対策を怠った結果だ。

 そんなこと考えていた僕の方へ、まるで見透かしたかのように彼女は声を掛けてきた。

 

「寧ろ好機よ、大チャンスじゃない」

 

 その声には僕たちの感じている恐怖や諦めといったものが全くなく、それどころか面白いものにでも出会ったかのような喜びに満ちている。

 レイシア……この状況で君は……。

 

「……あれを見てまだそんなこと言ってるんですか」

 

 信じられない――前を見据える彼女の背中へと、感情のままに投げ掛けた言葉はまるで責めるような形で僕が口から飛び出た。

 当たり前だ。

 相手はこんな学生のその腕試しの場で、それにそぐわないほどの規模の魔法を使っている。対処のしようなんてあるわけがない、あんなものもはや災害と同じだ。

 それに対抗できるのはそれこそ最上級魔法を使うしかない。

 

 しかしそんな僕の事などお構い無しに、彼女は言葉を続ける。

 

「あれだけの魔力を使ってただですむと思う? 私と戦っていたんだからあいつも無茶してるに決まってじゃない」

「それは……」

 

 そりゃあその可能性は……ないとは言い切れない。

 だがそれはほとんど憶測にようなものだ、決めつけられるほどの確信なんてあるものか。

 そう思い口ごもる僕のその隣で、

 

「――いや、その通りかもしれねぇ」

 

 と、ユーリは彼女へとまるで追従するように言葉を発する。

 彼女のいうことに言い淀む僕とは逆のことを口にした友人の言葉には、どこか曖昧なものではない確信のようなものがあった。

 

 

「俺も何がどうとかは全く分かんねえけどよ……何せあんだけの魔法だ、消費する魔力も尋常じゃねぇくらいの量がいるのが道理ってもんだぜ。

 これまでの消費を合わせて考えれば、あいつは今ぶっ倒れるのを気力で耐えているだけなのかもしんねぇ」 

「……確かに」

 

 確かに、そうかもしれない。

 ユーリの言うことはもっともだ、いくら次元の違う魔法とはいえ原則から逸脱するものではないはず。

 ガルドロフがいつからあの魔法を行使できるようになったかは定かではないが、これまで噂すら聞いたことがないのはおそらくこの学園内では使ったことがないということ。

 とすると、だ。

 発動回数が少ないか、そもそも使えない理由があったのではないだろうか?

 

 

(――それとも、この土壇場で初めて成功させた……?)

 

 

 可能性の一つとして、思い浮かぶのはそんなこと。

 荒唐無稽だがあり得ない話ではない。

 

「――そんなことは後で考えればいいことでしょ。

 それより時間がない。

 だからもう一回あんたたちで道を作りなさい。そうすれば今度こそ――私がこの手で決着を着けてみせる」

 

 だがその答えが出る前に、レイシアからの号令が掛かってしまった。

 試合時間は有限だ、彼女のいう通りもうほとんど残っていない。

 時間切れでの決着など彼女の望むところではないのはこの短い付き合いでよく分かっているが、だからといってあの魔法を相手に真っ向勝負など正気の沙汰ではない。


「待ってください、もう少し時間を」

「ダメよっ!!」

 

 相手が何故か待ってくれているのならと、冷静に分析しようという僕の言葉に強く否定の意思を示すレイシア。彼女はひたすらに前を見据え、自分の身の丈を遥かに越える脅威へと胸を張って対峙している。

 

「あいつはいけすかない奴だけどね、それでもこうして真っ向勝負を仕掛けてきたの。そこから逃げるような奴が、最強を目指せるような魔法士になれると思う?

 

 

 ――私は全然思わない!

 

 

 どれだけ強い相手だろうとも、自分の力が及ばない状況だとしても、そこで諦めて逃げるようだったら私が思う”最強”へは決して辿り着けないのよ!!」

 

 彼女は叫ぶ。

 

「あいつは私に勝負を挑んだ、あんたたちにもよ。

 数の不利なんて消し飛ばしてやるって、そしてそれを実現させるために限界を越えたの。

 それを私たちもしてやらなきゃ駄目なのよ。

 それがあいつへの、魔法士としての最大限の礼儀!」

 

 彼女は叫ぶ。 


「力を貸しなさい!

 今回ばかりは私一人じゃどうにもできないかもしれない。

 でも今は、あんたたちがいる。

 この三人で、このチームで――あいつに勝つのよ!!

 

 

 ――まさか逃げるなんていわないでしょうね、ユーリ、ネルス!」

 

 

 

 彼女の叫びに、

 

 

 

「――そこまで言われちゃ、仕方ねぇ」

「――失敗しても文句言わないで下さいよ」

 

 ――応えられないがない!

 こうまで言われて、退けるわけがないだろうが……!!

 

 

「「やってやるよ、大将/リーダー……!!」」

 

 

 僕らは吠えた。

 それまでの弱気な自分を奮い立たせるために。

 あの強大な敵に対して、それでもなお負けないように。

 そして震える魂へと火を着けた、彼女に覚悟に報いるために。

 

「ふっ……いい返事、それを聞きたかったのよ」

 

 そこから僕らに言葉は要らなかった。

 伊達にここ数日しごきと勉強に邁進してきたわけじゃない、これから誰が何をするのか既に了解済みなんだ。

 故に――後は実行するのみ……!

 僕ら三人――向かう視線は同じ場所。

 

 

 

「――お喋りはもう、済んだかよ?」

 

 

 

 僕らの視線を受け止めて、ガルドロフが眼光を返す。

 随分と待たせたしまったようで、玉のような汗を幾筋と顔から流しながらも不敵な笑みを浮かべ、陽炎に揺れる空気を纏う姿は

息もあがって苦しいだろうにも関わらず――全くもって威風堂々!

 最後の一撃を放つための姿勢だけは小揺るぎもせず――

 

 

 

「――こっちはようやく、暖まってきたところだぜ……!」

 

 

 

 ――掲げる剣に匹敵するほどの、大きすぎる気迫を放っていた。

 

「ええ、ずいぶん待たせちゃったけど、もう大丈夫」

「そうか、じゃあ――」

 

 その短いやり取りが、開始の合図だった。

 解き放たれるのを今か今かと待ち望む極光炎熱の連輪剣が、グラリ傾き向きを変え、

 

 

 

「――いっちょ最後の一勝負といこうじゃねぇかぁああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 ――一気呵成と、僕らの頭上より降り注ぐ――

 

 

 

「――《自壊を招く泥土の巨腕》……!!」

 

 まずは僕――それに対する最初の一手。

 近づくだけでも全滅必死のその一撃を、地面より生やした左右の泥の大腕によって挟み潰すようにして圧迫し、その進行を僅かに食い止める。僕の制御を越えた質量によってにいずれ自重で崩壊するという、こんな時ぐらいでしか使い様がないこれを覚えていたことを今この時は感謝していた。

 

 融解する物質が奏でる不快音が辺り一帯に響き渡るがさして気にせず、そこへ間髪入れずにユーリに魔法が切っ先の部分へとぶつかっていく。

 

「残りの全魔力を込めた《上昇気球》だ――食らえやぁああああああ!!!!!!」

 

 接触、即爆発。

 会場の上空四分の一に匹敵するほどのその爆発は、泥のかいなを熔解させて進もうとしていた連輪剣を何と押し戻すことに成功する。

 

 しかし成果といえばそれだけ、魔力を限界まで込めて威力を高めたとしても高密度の炎の刃をどうにかすることなど出来はしない。

 だが一見気休めにしかならないようなこれも、次へと託すバトンの一つ……!

 

「――後は、任せる」

 

 自らの仕事を最後までやりとげ、魔力を使い切って気絶するユーリ。

 

「――任せとけ」

 

 地面へ倒れ込む友人へ目もくれず、僕は自分の仕事に集中する。

 僕が今すべきことは、友が託したこの好機を、最大限に活かすこと。

 そしてそれを、彼女へ譲り渡すこと。

 そのためには、一瞬たりとも目の前の相手から視線を逸らすわけにはいかなかった。

 

「ぐっ……ぅううう……!!!」

 

 僕が造り出した巨腕は、大きさだけならガルドロフの連輪剣とほぼ同じ。学園の地面を使って造ったもの故に強度こそないが、融解したお陰でがっしりと絡み付かせることが出来ている。

 それによって出来たほんの僅かな時間、この拮抗がいつ崩れたって不思議ではない中で作り出したこの僅かな時間こそ――僕がもっとも欲しかったもの。

 ガルドロフ、お前にそれがどういう意味か分かるか?

 

「――掛け上がれ、レイシアッ……!!」

「――っ!? そういうことかぁああ!!!」

 

 発した掛け声、それだけで僕らが何を目論んでいるかを察したガルドロフは顔を上に向ける。

 

 そうだガルドロフ、この巨腕は一番最初に僕が使った《大濁流》と同じ――目眩まし兼侵略のための通路なんだよっ……!

 

 そのことに気付いたガルドロフだがもう遅い、既に作戦は最後の工程に入っている……!

 

「――距離、よし!」

 

 ガルドロフに見えない泥腕の影を掛け登り、一足飛びに空中へと躍り出たレイシア。

 彼女がここまで素早く行動できたのは先に掛けておいたユーリの《疾走具足》によるものであり、それがもたらす速度そのままに駆けた彼女は僕の泥を踏み切り台にして会場の遥か上を跳ぶ。

 さぁガルドロフ、お前の望んだ決着の時がそこまできたぞ……!

 

「――角度ーーー!!!」

「――これで、どうだぁああああああ!!!!」

「――させねぇええええええええええ!!!!!!」

 

 彼女の叫びに合わせ巨腕を動かし、圧倒的物量の勢いによってガルドロフの連輪剣を望む場所へと動かそうと力を振り絞る。奴も必死に抵抗するが、やはり制御に割けるほど余力がないのか食いしばる表情には余裕がない。

 それでもなお魔法を維持するその精神力。

 計り知れないその力強さに圧されるように、徐々にこちらへと傾く魔法剣。やはりこの男を押さえ付けるのは、僕だけの力では足りないというのか……!

 その間にも空中で体勢を整えるレイシア、彼女の準備が整うまでもう時間はあまりない。

 それまでにどうにかしなければ……!

 

「――これ、でもかぁああああ!!!」

 

 だったら形振りはこの際、投げ捨ててやる……!

 そのくらいしなければ――勝てない!

 握った拳を地面に叩きつけ、割れる石畳から生じた罅がバキバキと走り、やがてそれはガルドロフの足元へと到達する。

 

「――何っ!?」

 

 その途端に奴の地面が隆起して連輪剣を維持する手が足元ごと狂い出す。

 どうだこの野郎――!

 ヘイツの竜巻を回避するために石畳の下へと干渉し作っておいた”地下の泥道”を再利用しての苦肉に策だが、上へ集中しなければならないところへ急に下が揺らいだら誰だって対応できまい……!

 その隙を逃さず、僕は彼女が求める角度へと連輪剣の切っ先を導いた。

 

「――そこっ!」

 

 狙い過たず――求めたところへぴたりと来たその一瞬を彼女は逃さなかった。

 空中にて溜め込んでいたその力を、今この瞬間――解放する……! 

 

 

「こいつが私の全力――《煌々と紅き星の落涙スカーレッド・ミーティア》だぁあああああああああああああ!!!!!!!!」

 

 

 

 肩へと備えた両の緋刃より放出される炎が猛烈な勢いで彼女を押し出し、右足に集中させた突撃槍の如し紅の脚甲へと必殺の速度を与える。

 それはまるで明るい空に突如現れた流れ星――墜落する先は勿論、天へと切っ先を向けた不遜なる連輪剣。

 

 

 

「――ぶっ壊れろぉおおおおおお!!!!!」

「――させるかぁあああああああ!!!!!」

 

 

 

 最後の攻防――お互いに底の底まで魔力を振り絞り二人は魔法をぶつけ合う。その衝撃は凄まじく今度こそ僕の巨腕は三々五々に千切れ、会場のいたるところへと飛散していく。

 地面へ倒れるユーリを庇いながら、その結末を見届ける。

 

 拘束から解放された連輪剣が再び猛威を振るおうとし、しかしそれを真紅の流星が地に縫い付けんと二対の業火を滾らせる。

 

(――僕にできるのは、ここまでだ……!)

 

 方や”流星の一撃”――方や”神剣の再現”。

 そこに入り込む余地はなく。

 拮抗――その末に。

 

 

 

 

 

 音を鳴らして崩れたのは――ガルドロフの生み出しし”神剣擬きバルムンク

 

「――なっ!?」

 

 ”バキン”という硬質な音と共に、崩壊が始まれば後は容易く。

 連輪剣を構成する輪一つ一つ砕きながら、彼女は一直線に突き進む。

 

「――はあっ!!」

 

 そして――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――ちくしょうが」

 

 散々に崩壊した会場の上で。

 

「また、俺の、負けかよ……」

 

 取り戻した静寂の中、一人の男が地面へと倒れていた。

 あれほどまでの光景を生み出してした巨大剣は影も形もなく、立ち上る土煙が周りの観客が見えないほどに空中に漂っていた。

 ガタガタに崩れた石畳の上で天を見上げながら――ガルドロフは悔しさを隠すことなく言葉にしている。

 自身を守っていた魔法具は既に魔石が砕けその効果を発揮しておらず、よしんば無事だったとしてももう自分には立ち上がる力すら残されていないことも全て理解しての、その言葉であった。

 

「――安心しなさい、勝ったとは言わないから」

 

 それに対し、背中を向けながら言葉を掛けるレイシア。

 決して地に伏したガルドロフを

視界に入れようとしないとでもいうようなその態度には、まるで今の自分にはその資格がないとでもいうようなものを感じる。

  

「――またやりましょう。その時こそ、正面からあんたを見下ろす」

「そうか……だが、これ、だけは……言っ、とくぜ」


 意識が朦朧としてきたのか、大分口調がおかしくなってきたガルドロフはそれでも最後にこう言い残した。


「今に見とけ――最強になるのはこの俺だ」 

 

 男の執念が見せた意地――それを応えるようにレイシアはこう告げる。

 

「いいえ、それは違うわ。

 あんたがいくら強くなろうとも、更に強くなった私がそれを絶対に乗り越える。

 

 ――だから最強になるのは、この私に決まってる」

 

 意識を失い聞こえていなくとも、その宣言は確かにガルドロフへと届いただろう。

 そのあとにようやく審判の声が会場へと響き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――波乱の一週間を走り抜け迎えた、チーム対抗戦。

 その結末はガルドロフチームの三人には失格の判定が下されたのに対し、レイシアチームは全員が無事魔石を保持していたという結果を示し――

 

 

 

 

 ――結論として、僕たちの完勝という判決で幕を閉じたのだった。

 

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