第2話

 学校に行ったことはない。人前に出ることもない。仕事でチームを組むときも、なるべく3人以下。ぎりぎり、小隊規模まで。

 正義の味方をやっている。街を守るために、なかなか際どい戦いを繰り広げたりもする。この仕事が好きだった。仕事仲間は身長をまったく気にしないやつだったり、高身長をべたほめしてくれたりするやつらばかりだった。いいひとしかいない。

 ただ、どうしても、最近。


「おい。恋人とはどうだ?」


 この話題が多い。


「やめてくれよ。向こうの名前も知らないし、恋人でもない」


 仕事柄、第五空間SNSに深く潜ったりもする。そのうちのコミュニティのひとつに、身長コンプレックスのあるひとだけが集まる場所があった。自分は高身長のせいで学校にも行かなかったので、そこそこコミュニティにはまった。

 そのなかに、低身長で悩んでいるひとがいた。

 仕事の重要警護対象だった。その子は一般のかたなので、気付かれないように警護しなければならない。

 そこそこ、仕事をがんばることになった。コミュニティで仲良くなったし。知られないように警戒しながら、そのひとを守りきった。大変だったけど、なかなかにやりがいがあった。

 でも、それ以降。

 仕事仲間から恋人だの付き合えだの言われることになってしまった。


「おれは学校にも行ってないんだぞ。そんなやつが普通に誰かと付き合ったりできると思うか?」


「思うけど。学校関係ねえじゃん」


「あるよ」


 コミュニケーションの方法が分からない。


「警護が終わったら、おまえ、チャンス失うぞ」


「いいよそれで」


 これは、報われない恋。それでいいと、思う。しかたがない。

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