今だから書ける『双葉』。
『或る少女のサバイバル』は、もう何度も書き直しています。
なので大きく筋をたがえる事はないのですが、新しい『双葉』に血肉がついてきました。そろそろ勝手に動き出すかもしれません。
『双葉』は、今だから書ける作品なのだと思います。
この作品を最後に書いたとき、私はまだ実家にいました。
親はきっと改心してくれるはずと、心の底で祈っていました。
だから、そういう物語しか描けませんでした。
人の心の本質は『善』なのだと、頑なに信じていたのです。
――しかし、両親は改心などしませんでした。
歳を取ってなお強欲で、平然と『目下』という存在を傷つけていました。『目上』のいう事は信じずに、影でさんざん悪口を連ねていました。
どこまでも「自分は被害者だから、何をしても許される」というスタンスで、慇懃無礼に品のいい仕草と口ぶりで。
色々あって逃げ出して、心もやっと落ち着いて、私は人に本質などないと悟りました。善とか悪とか、それは時代時代の人々が作った便利な詭弁に過ぎないと。
私は、般若心経の『空』の概念が好きです。
100万する茶碗も、100円で買った茶碗も、どっちもただの茶碗。
どんな価値がついていようが、本質は茶碗。
もっと言えば、練って焼いただけのただの土。――それが『空』。
人だって同じ。どんな地位があろうと金を持っていようと、親だろうと子だろうと『空』。
この話には、『空』の概念を入れたいと思っています。双葉自身も『空』ですが、大矢も『空』です。今後の話で、大矢も決して立派な人間ではないというのが表現できたら、と思います。――立派でないだけで、悪役になるわけじゃないですけどね。
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