遠花火

宵闇のなかで

となりに佇むきみの

どこか物憂げなさまがきれい

目をそらす

花火の音がする

制服にふれる


それはとてもかすか

ごくわずかな音と光と屑屑

散らばった花びら

遠花火の残像

それはただよぞらの残滓

それは屑屑として

淡いよぞらにのこりつづけて

やがてひとになる


きみはきれい

と、夏の温度にゆらぎながら

わたしは光に溺れている

宵闇という絶対値にざわめいている

きみは平凡にわらう

わたしは平凡に――


去ね 神よ

光のちからが

きっと繋がらないふたりのものになって

一度もありえない恋になりかわる

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