第12話三本の刀

────帝国潜入まで残り8日


リバーシを商会と契約した後、日課をこなし、一日を終えた。


目を覚ました時、隣の机に細長い箱が3つ置かれていた。


中を開けてみると、前から発注していた、武器、刀だった。


刀は全部で3種類、太刀、打刀、腰刀だ。


太刀の全長はシンの首元くらいで、刀身が7色に淡く輝いており、金色の桜が舞っているようなデザインが施されていた。


打刀はシンの腰くらいの長さで、漆黒の刀身が鈍く光っている。刀身には金色の烏が羽ばたいているようなデザインが施されている。


腰刀は大人の肘から指先くらいの長さで、その純白の刀身が強く輝いている。刀身には金色の雲のようなデザインが施されている。


銘はそれぞれ、【桜影】【八咫烏】【戦雲】というらしい。(刀身に銘が彫られていた)


この刀たちの銘以外あまりわかっていることがない。素材も鍛冶師も。


だが、この刀たち……というよりはそれぞれの鞘に第十五階級魔法級の隠蔽魔法が掛けられていることが分かった。

どういう効果が付与されているかが分かる魔道具の中でも神や名匠が作った魔道具を除いて、トップクラスの性能を持つ魔道具でどういう効果が付与されているかを調べた。


結果は隠蔽魔法が掛けられていることが分かった訳だが……どうも他にもあるような気もするが気のせいだろう。

本体にも掛けられているとは思うが、余程高レベルの付与がされているのだろう、どういう効果が付与されているのかすら調べられなかった。



どのような隠蔽が施されているのかを検証するため、シンはいつも行っている森……冒険者ギルドからはEランク指定されている……に出かける。


持ち物はつい先程届いた刀、三本と水だ。

水魔法とか生活魔法で水飲めるでしょ?

とかいう意見があると思うが、ラノベとかである生活魔法のようなある種のチートではない。


まず生活魔法という括りはない。

水魔法の水は飲めるといえば飲めるが、大量の魔素が水に含まれており、飲んでしまうと、村人などは最悪死亡してしまう。


飲み水のレベルにするには、水魔法を極めるしかないという。それこそ水魔法だけを生涯使うというレベル。


まあ、そんなわけで魔法の水を飲むのはほぼ不可能に近い。

なので飲み水を持っていくしかないのだ。


シンは準備を整え、いつも通り森へ向かう。


その森は森というよりかは、林と言った方が正しいのではないか、というぐらい🌲が少ない。


なので冒険者ギルドからはEランク指定されているのだ。


「よし着いた」


もう見慣れた森に、躊躇なくシンは入っていく。その背中からは余裕が感じられる程に。


5分くらい歩いていると、後ろから複数の足音が耳に入る。

後ろを見ると、5匹の牙を生やした子犬がこちらに襲いかかって来ようとしている。


コボルトだ。その鋭い牙とフサフサの毛からそう判断する。

ペットとして飼おうとしている人もいるが、決して野生のコボルトをペットにしようとしてはいけない。とても凶暴だからだ。


こちらに襲いかかって来ようとしている生物だけを狩るというスタイルをとっているのだが、今回は襲いかかってきたので、応戦する。


今回は検証だ。


コボルトは武器と判断したものをみると立ち止まるという性質がある。

それを利用してどこまでが隠蔽されているのかを調べる。


最初は鞘から出さずにコボルトの首元を攻撃してみる。鞘に入ったままの刀を振り上げても立ち止まらない。この状態であれば、隠蔽されている。


次は刀を半分出しての攻撃だ。

そのまま振り上げても、戻るだけなのでコボルトの目の前まで接近し、抜刀の構えで半分だけ抜き、先っぽ(名称が分かりません)をコボルトに当てる。


するとそれを見たコボルトはその場で立ち止まり、後ろに下がる。

普通のコボルトはあのような動きはしないはずだが。不思議に思いながらも、検証を続ける。


最後は完全に抜刀しての攻撃だ。

刀を抜刀し、振り上げる。

コボルトは先程と同じよな動きをし、後方に下がる。


おーけー。

隠蔽効果は鞘に完全に入っている時だけに作用すると分かった。


その後の何度も同じ検証をした。

全て結果が同じで、先程の仮定のものであっていたようだ。



倒したコボルトの亡骸を重量魔法で、亡骸の重さを調整し、冒険者ギルドで売った。



また一刻と迫る日に密かに胸を弾ませるシンであった。



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