【三月二十三日】
ここに取り出したるは、便箋に封筒そして古くなった六枚の写真。とりあえず写真を封筒に収め、そして何を書くか考えた。考えれば考えるほど、どつぼに嵌まり何も書けなくなり、気がつけば時がない……というのが今の現状だ。
「あー……なんもないなー」
家哉兄さんは俺に『弟になってもいい』と書き残した。では、俺は久哉に何を書いてやればいいのだ。久哉に言いたいことはたくさんあるのだ。部屋を片付けろ、寝相をなんとかしろ、寝言がうるさい、弓哉にちゃんと指導しろ……毎日言っても足りないくらいだ。それでも、いざペンを握り紙を前にするとピタリと手が止まってしまう。
「なあ、俺は何を遺せばいい?」
そして、俺は今日もまた白い手紙を
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます