第115話

 いや、は?


 なぜ3週間でこんなことになってしまったのだ。


 これに関しては全く余は悪くないからな、あいつらが悪いんだからな。


 あいつらが何かあれば余のところに来て、何かあれば話に来て、何かあれば助けを求めてくる。


 今の余は急なキャラ変更のせいでこんなしょうもないこともちゃんと対応してやらなければならない。


 なぜこんなキャラにしてしまったのだ、もっとマシなキャラにしておけば良かった。


 まさか自分で自分の首を絞めることになるとはな。


「ナイトメアがここまで良い人だと思わなかったよ」


「いえいえ、僕はただ皆さんの役に立てて良かったです」


 黙れ桜井莉緒、お前はたまに余のこと宇野って呼ぶなよな。


 余は宇野って呼ばれてきた時間の方が長いから思わず何度も返事しようとしたんだからな。


「しっかりして莉緒!こいつは私たちの敵だからね」


 お前も黙れ高宮千沙、なにが、こいつは私たちの敵だからね、だよ!


 お前はバレー部のことで余に相談してきていたではないか。


 なぜ余はお前のバレー部のことで相談に乗らなくてはならないのだ。


「こんなにも快適に生活できたのもナイトメアさんのおかげですよ」


 お前が一番黙れ、こいつは余が断らないのを良いことにめちゃくちゃ仕事を与えてきやがるから面倒で仕方なかった。


 あと、こいつはまだ余のことを宇野だと怪しんでいたからずっと気を張らなくてはいけなかった。


「いえ、それは皆さんが頑張っていたからですよ」


 そんなわけないだろ!と自分地震にツッコミをいれたいが抑える。


 結局は余が一番働いたからな、この3週間で、こいつらのと、自分の分も働いていたから自然とこいつらよりは働きは2倍になる。


「私このままずっとここで暮らしても良いかも」


 勝手なことを言うな、馬鹿。


 余は絶対に嫌だからな、一人だったら快適だったというのに。


「でも、良いんですか?今地球はとんでもないことになっているかもしれないですよ?」


 これだけ時間が過ぎても元の世界に戻れないということはもしかしたら、あの余たちをここに飛ばしてきたデカブツを倒すことが出来ずメッカに地球を征服されているかもしれない。


 てっきり女神の奴がすぐに倒してくれると思っていたが、違ったようだな。


「あ、それなら大丈夫ですよ」


 は?何が大丈夫なのだ?


「宇野くんが絶対に地球を守ってくれるから!」


 こいつらは宇野を何だと思っているのだ!

 

 しかもお前らの信じている宇野は今ここにいるからな!


「そうだと良いですね」


「はい!」


 はぁ〜、この生活さっさと終わってくれよ…。


 ん〜っと思い切り伸びをした。


 そして、次に目を開けた時には目の前には見慣れた街があった。







 は?


「もしかして戻ってきた?」


「そうみたいですね」


 よっしゃー!このままこの四人で一生暮らしいくかと思ったから嬉し過ぎる。


 時間は?時間はどれだけ経ったのだ?


「じゃあ僕は帰らせてもらいます」


 余は一刻も早く家に帰りたい。


「ちょっと待って!」


 帰ろうとすると桜井莉緒が止めてきた。


「どうしたんですか?」


 止めるなよ、余は早く家に帰りたいのだ。


「もう私たちと戦うのはやめよう、これからは私たちと一緒に地球を守ろうよ」


 こいつは何を勘違いしているのだ。


「何を勘違いしているのか分かりませんが、僕はあの状況だったから手を貸しただけですから。この時点で僕たちはまた敵同士ですから」


「そんな…」


「それじゃあまた会いましょう」


 そして余はあいつらに背を向けて自分の家へと向かう。


 早く家に帰ってどれだけ時間が過ぎているのかを知りたいし、一人になって羽を伸ばしたい。


 家に着き、変身を解いて家の中に入る。


 あ〜久しぶりの我が家だ。


「ただいま」


 誰かがいるわけではないが帰ってきたことを実感するためだ。


「あ、おかえりポヨ〜」







 おい。

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