第83話
「お前だけは絶対に許さないからな」
「それはこっちのセリフよ」
「お前には言われたくねぇよ」
「私も宇野には言われたくない」
せっかくデートまでしたのに二人三脚は最悪の出来になっている。
なぜこうなってしまったのだ、ただの二人三脚の練習だろ。
「お前は前のデートで何を学んだのだ」
「学ぶものなんか無かったでしょ。それに宇野がみんなにデートって言うから大変だったんだよ」
それは余は悪くない。
「デートをデートと言って何が悪い」
「みんなが気になるから言い方変えるとかあるでしょ」
「なぜ余がわざわざそんなことしなければならないのだ」
「出た、その言葉。宇野が余かどうか知らないけどやるの」
「余は面倒なことはしないのだ」
「自分が特別な存在だと思い過ぎだよ」
「余は特別な存在なのだ」
だって余は車よりも電車よりも速く走れるし、天才だし、カリスマだし、特別な存在以外に何があるのだ。
「やめだ、やめ。もうお前とやってられるか」
「それもこっちのセリフだから」
余は高宮千沙から離れ、校舎の方へと戻って行った。
二人三脚の練習を一旦やめて、佐々木について聞き回ることにした。
佐々木について知っている奴なんかいるのか?
あいつ不良と連んでいるからそこそこ有名なはずだとは思うが。
まぁ余ほどではないがな。
***
「おい」
「お、宇野じゃん。どうしたん?」
「佐々木について知っていることはあるか?」
「佐々木かぁ、不良と連んでいることしか知らないなぁ」
「そうか、悪かったな」
「いいよ」
***
「おい」
「ん?宇野かぁ」
「佐々木について知っていることはあるか?」
「ごめん。あんまり俺は詳しくないなぁ」
「そっか」
「でも、隣のクラスの前田って奴が中学同じ陸上部だったらしいぞ」
お、こいつ中々使えるな、褒めて遣わす。
「感謝する」
余は隣の教室へと向かった。
ガラガラッ
「前田って奴はいるか?」
ドアを開けた瞬間に前田をいるか聞いてやった、初めが肝心だからな。
ザワザワ
そうだった隣のクラスの奴らだからこんな入り方したら驚いてしまうか。
「ぼ、僕だけど」
1人の男が恐る恐る手をあげた。
そして余はそいつの近くまで行き、佐々木について聞く。
「佐々木について知っていることを話せ」
「え、佐々木?ん〜?不良と連んでいるのは知ってるだろ?」
「ああ」
「あいつは元々すっごい真面目な奴だったんだ、けど急に不良と連み始めたんだ。あと、たまに陸上部の練習をただただ観てるな」
「そうか」
「僕も知ってるのこれくらいなんだ」
「いや、十分だ。感謝する」
なんか大体分かってしまった。
あとは直接佐々木と話をするだけだな。
余は隣の教室から出て、自分の教室へと向かう。
今のところ出来ることはないから自分の席で休むことにする。
「あれ、宇野くん?」
なぜ桜井莉緒がいるのだ。
「どうしたの?千沙ちゃんと一緒に練習してたんじゃないの?」
「もうあいつとは練習をしん」
「また何かあったの?まぁお互い素直じゃないからね」
「ふん」
「どっちかが大人にならないと。宇野くんは子供のままなの?」
「余は子供ではない」
「じゃあ何をすれば良いか分かるよね」
「ああもうクソ」
余は高宮千沙を探しに出る。
あいつはどこで休憩をしているのだ、めんどくさい奴だなぁ。
***
「おい」
高宮千沙は外の木陰で休んでいた。
「余もほんのすこ〜し悪かったところも無くはなかった。反省もして無くはない。だからもう一度練習するぞ」
「うん。私も言い過ぎたところあったし、ごめんね」
「気にするな」
そして余たちはもう一度勝利のために練習を再開した。
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異世界に転生したからチートで無双してモテモテな異世界ライフ! ……って思ってた時もありました
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