第79話

「おいおい、これ400円も取るのかよ」


「いやいや、普通だから」


「お前の普通で語るなよ」


「皆んなの普通だよ」


 マジで写真を撮るだけで400円はぼったくりだと思う。


 400円ってことは100円玉が四つってことだよな、100円玉が四つってことは400円だよな。


「じゃあさっさと撮るか」


「待って、モード選択があるから」


 モード選択? 


「何だよそれ」


「背景とか色々設定するものがあるの」


「それはお前が決めておけ、余は先に待っておくぞ」


「本当に適当だね」


 余は先に中に入ってどんなポーズで撮るか決めておこう。


 さっきあの不良どもをボコったついでにプリクラについて調べていたら、結構カップルでも撮るらしいな。


 しかも、ただ直立不動で撮るわけではなく、ちゃんとポーズをとって撮るらしい。


 だから、プリクラ カップル ポーズ で調べて出たポーズで撮っていこうと思う。


「設定完了したからもう始まるよ」


「よし、じゃあ来い」


 余は両手を広げて高宮千沙を待つ。


「え、え?なになに」


「どう見てもハグだろ。早く来い」


「ハグ?!待って待って。何で?」


「おい、時間がないだろ。早くしろ」


「時間がないって言っても」


 パシャ


「おい、一枚無駄にしただろ」


「待って何でハグなの?」


「次はバックハグだからな、背中貸せ」


「だから待ってって、どうしたの?」


「なんだ?余の背中を貸した方が良いか?」


「そういう問題じゃないから」


 パシャ


「おい、何枚無駄にする気だ」


「ごめん。次はちゃんとするから」


「ほら、おんぶしてやるから乗れ」


「もう、じゃあ乗るよ」


「ああ」


 パシャ


「次はお姫様抱っこってやつだ」


「お姫様抱っこ?!」


「そうだ、早く来い」


 余は桜井莉緒を隣の県に連れて行く時と同じように抱える。


「なんか慣れてない?」


「桜井莉緒にもしたからな」


「莉緒にもやったの?」


 パシャ


「おい、カメラ見ておけよ」


「ごめん。でも、何で莉緒にお姫様抱っこしたの?」


「時間がないから後で話す。次はハート作るぞ」


 みたいな感じで一通り写真を撮り終えた。


 ***


 なかなか高宮千沙が反抗していたから思い通りに撮ることが出来なかった。


 まぁ最後の方は大人しく撮ってくれてはいたが、最初は無駄にしてしまった。


 プリクラを撮ってみたが正直なところ普通の写真でも良い気がしている。


 スマホのカメラはすごく画質が良いし、いつでも撮れる。


 若者がプリクラにわざわざ撮りに来ているが余にはまだ理解出来ないかもしれない。


「落書きどうする?」


「余も描く」









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 異世界に転生したからチートで無双してモテモテな異世界ライフ! ……って思ってた時もありました

という作品も書いているのでぜひ見てください。

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