第62話

 夏休み、7月下旬から8月のおわりまでの間を暑くて、集中できないから自宅学習をしましょう、みたいなノリの休みだ。


 小学生の頃は学校でいじめられなくてラッキーくらいにしか思っていなかったが、中学はただひたすらに鍛えまくっていたから特に夏休みに思い出はない。


 そして今、クラス劇も終わり夏休みに突入している。


 だが、夏休みだからと言ってバイトをして魔法少女に戦いを挑む以外は何もやっていないがな。


 そういう今もバイトをしている。


 元々暇なんだが長時間働いているから暇な時間が増えている。


 暇な時間は基本オーナーと会話をしている。


「宇野くんはもう夏休みなのですか?」


「ああそうだ」


「夏休みはバイト以外で何かされる予定は?」


「特に無いな」


「夏休みをきっかけに何かを始めてみては?」


「う〜ん」


 夏休みを理由に何かを始めるのも良いかもしれないな。


 せっかくの長期休暇を有意義に使わないともったいない。


 だが、余は何をやれば良いのだ?


 まず余にとって有意義なこととは魔法少女を倒す事に関連する何かだ。


「オーナーは何をやっていたのだ?」


 余だけでは何も思いつきそうになかったからオーナーの言葉にヒントが隠れているかもしれない。


「私は勉強ばかりしていましたね」


 マジか、休みなのに勉強している奴なんかこの世に存在しているのか。


 だが、夏休みの課題はしっかり計画的にやっておかないとな。


 余は課題とか、あっち側からやれって言われているやつをやるのが余にとって苦痛で仕方ない。


「勉強だけか?」


「あとは友達と遊んでいましたね」


 無難だな。


「他には」


「夏の星を見ていましたね」


 ちょっとおしゃれな夏を過ごしていたのだな。


「他には」


「え〜あとはバイトくらいですかね」


「余とあまり変わりないではないか」


「そう言われればそうですね」


「夏休みだからと言って何かを始めるのは難しそうだな」


 特に余は限定されているからな。


「でも普段できないことをやるには夏休みが一番の方法だと思うのですが」


「そうだな、夏休みだしな」


「私の言葉に惑わされ過ぎているのかもしれませんよ、やりたい事もそうですが、弱点を克服するのも良いかもしれませんよ」


 お、そうだな、それは良いアイデアだ。


 だが、この完璧な存在に弱点なんてものがあるのだろうか?


 余は何をやっても完璧だからな、弱点を見つけるなんて至難の業だ。


 だが、余はその弱点に少し心当たりがある。


 それは、褒められたりお礼を言われることだ。


 これは最近感じることが多い、それで騙されたこともあったしな。


 

 そうだ、余は夏休みにボランティアをしよう。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 異世界に転生したからチートで無双してモテモテな異世界ライフ! ……って思ってた時もありました

という作品も書いているのでぜひ見てください。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る