第51話
あれから1日が経ち、クラス劇まで残すは2日になった。
「これとこれ頼んだぞ」
「ああ」
「次はこっちな」
「ああ」
「おい、こっちにも来てくれ」
「ああ」
「宇野くんこれ重たいから運ぶの手伝って」
「ああ」
「宇野くんこっちも重いのあるから」
「今行く」
余はクラスの皆にこき使われていた。
なぜ余がこんな奴らにこき使われなくてはならないのだ。
「なにやってんだ、早くこっち来い」
「今向かう」
くそ、余は王なのに。
なぜ王である余が下僕の奴らに命令されなくてはいけないのだ。
王という言葉がどういった意味かもう一度調べてほしい。
そうやってしているうちに放課後になっていた。
結局余は昨日と今日はこいつらの言いなりになってしまった。
明日からは絶対に王としてしっかりしないとな。
だから今日は疲れたから帰る。
「きゃっ」
帰ろうとして、教室のドアを開けようとしたら女の生徒が声を上げた。
見てみると声を上げた女の生徒が絵の具をぶちまけていて、それを一人女の生徒に少しだけで、あとは衣装にぶちまけた。
「ごめん」
「私は最近買ったシャツがあるから大丈夫だけど…」
そうだよな、問題なのは衣装の方だよな。
クラス劇まであと2日なのに衣装がこれなのは非常にまずい。
「どうしよう」
「かなりまずいね」
「もう本当になにやってるの私」
絵の具をぶちまけた生徒は泣きそうになりながら自分を責めている。
そんなことをやったら自分を責めたくなるよな。
それだけ自分が一生懸命に頑張っていたし、みんなが一生懸命に頑張っていたのを見ていたから、自分を責めているのだろう。
衣装って作るの難しいのだろう?本当にどうするのだろう。
待てよ、これで余が解決したら王として尊敬されるかもしれない。
やはり下の失敗を尻拭いするのが王としての器なのだろう。
「おい、そんな泣きそうな顔をするな」
「え?」
「あとは余に任せておけ」
「宇野くんが?」
「衣装は……これか」
余は汚れた衣装を手に取り、教室を出ようとする。
時間がないから早足で教室を出て、ダッシュで衣装の素材を集め、作り直さないといけない。
「なんで宇野くんが、宇野くんは悪くないのに」
「余は王だからな」
そう言って教室を出て、トップスピードで走る。
衣装の生地と布地が何か分からないから店員に聞いたこと以外は順調に進んでいる。
だが、問題はこれからだ、格好をつけたのは良かったが、衣装の作り方が全く分からない。
なぜ余は出来ると思っていたのだろう。
衣装を作るどころか裁縫もしたことがないのに。
店員に聞いておけば良かった。
どうしよう、これは完全にどうしようもなくなってしまったのだが。
本当にどうしよう?絵の具をぶちまけた女の生徒とほとんど変わらなくなってしまった。
なにをやっていのだ余は。
もうダメだ、明日どんな顔で学校に行けば良いのだ。
もう転校するしかないのか。
ほんの気まぐれで余の分身を出してみた。
「お前は衣装を作るのことが出来るか?」
分身は首を縦に振る。
え?
「お前、本当に出来るのか?」
分身はまた首を縦に振る。
おーさすがは余の分身だ、優秀なのは余に似ているようだな。
ちょっと待てよ、分身ってもう一人の余みたいなものだろう?なのになぜ余が出来ない衣装を作りが出来るのだ?
まぁ良いか、余も分身も優秀ってことだな。
だけどまぁあれだな。
また徹夜だな。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
異世界に転生したからチートで無双してモテモテな異世界ライフ! ……って思ってた時もありました
という作品も書いているのでぜひ見てください。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます