第49話

 やっと学校にたどり着いた。


 なぜポスターを貼りに行くだけであんなに疲れないといけないのだ。


 教室に入ると皆は一生懸命に作業に励んでいる。


 今思えばなぜ余が外に出てポスターを貼りに行かなくてはならないのだ。


 余は王だぞ、外に出るのは下僕の役割だろ。


 一応余は王に復帰したのだぞ。


 本当にダメだなこいつらは、まだ自分達が下僕である自覚が無い。


 まぁいつかは自覚するだろう。


 帰ってきたのは良いがやることがない、完全に余は蚊帳の外だ。


 暇だ。


 寝るか。


 だって余はもう本当に寝ていないのだ、夜更かしなんか初めてした。


 余は教室から出て昼寝のスポットを探すことにした。


 いつも昼飯を食べている場所で日陰がある場所で寝ることにした。


「すーすー」


 キーンコーンカーンコーン


 ん?昼休憩か?


 もうそんな時間か、寝たら一瞬だな、時が経つのが。


「んー」


 余は体を伸ばし、体をほぐす。


 変なところで寝たから体が少し痛い。


 せめて何か下に敷くものがあればもっと心地良かったのだがな。


 こういう時に使える魔法があれば良かったが、そこまで都合のいい魔法は無かった。


 少しは眠さは回復したから休憩は成功と言っていいだろう。


 余は昼飯を食べるために教室へと戻る。


「帰りラーメン食って帰ろうぜ。俺良いとこ知ってんだ」


「いいねぇ」


「俺も行く」


 帰り?何を言っているのだ、まだ時間は昼だろう?


 こいつらは時計が読めなくなってしまったのか?


「ずっとどこ行ってたの?」


「そんなことよりお前はなぜ帰る準備をしているのだ」


「何言ってんの?もう放課後だよ」


 は?こいつは何を言っているのだ?


 こいつらは皆で余を騙そうとしているのか?


 チラッと時計を見るともうすでに3時を過ぎていた。


 余はどうやら寝過ぎていたようだ。


「はぁ〜どうせどこかで寝てたんでしょ?ほら、肘のところに汚れがついてるよ」


 高宮千沙は余に近づき余の肘についている汚れを取った。


「ちょっ、近いって」


 高宮千沙は余を押して余から遠ざかる。


「お前から近づいてきたんだからな」


「あんたが近いのが悪いのよ」


「余は悪くない」


 せっかく余の肘についている汚れを取ったのだから評価を上げてやっても良かったが今の態度で全てチャラだ。


「もう私帰るから」


「待て」

 

 余は帰ろうとする高宮千沙の手を掴んで帰るのを止める。


「え?」


「顔が赤いぞ。熱でもあるのではないか」


「大丈夫だから。もう帰る」


 高宮千沙は余の手を振り解き、教室を出て帰っていった。


 せっかく心配してやったのに、なんだよあの態度は。


 もう良い、放課後ならば余も帰るとするか。


 ***


 このまま準備は順調に進んでいき、クラス劇まであと残り3日になった。


 教室に入ろうとしたらクラスの皆がザワザワしている。


「ん?なんだ?」


 何をそんなザワザワする必要があるのだ。


 教室の中を見てみたら今まで準備していたものが全て壊されていたり、ぐちゃぐちゃにされていたり、酷い有様になっていた。






















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 異世界に転生したからチートで無双してモテモテな異世界ライフ! ……って思ってた時もありました

という作品も書いているのでぜひ見てください。

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