第32話
休み時間に宇野に急に話しかけられた。
宇野に話しかけられたことはあの帰り道を含めて初めてだったから正直驚いてしまった。
帰り道は私が一方的に話しかけてるだけだから、宇野から話しかけらるの新鮮だ。
そんなことは置いておいて、話しかけられた内容だ。
宇野にストーカーの犯人が分かったって言われたんだけど。
「え、本当に分かったの?」
「ああ、間違いない」
え、すご。
嘘でしょ、私が見た感じ宇野は犯人を探している様子はなかった。
いつも机に突っ伏して寝ているか、莉緒に話しかけられてるかのどっちかなのに。
なのに今回、ストーカーの犯人が分かったって、凄すぎない?
私のいないところで地道に探してくれてたのかな?
それだったら嬉しいな。
「いつ分かったの?」
「それは集まった時に話す」
でも、まだ宇野が見栄を張ってる可能性があるかも。
宇野って自分のことを王だって思ってるし。
もしくは私との帰り道が飽きて適当に犯人をでっち上げてるかもしれない。
あれは私が一方的に話しかけてるだけだから宇野にとっては嫌だったかもしれない。
それは流石にないか、宇野だったらしっかり飽きたって言うはずだし。
それに、宇野は私のために一緒に帰ってくれてる訳じゃなくて、チョコケーキの為だからなぁ。
とりあえずは宇野を信じて放課後に莉緒と菫と美咲を呼び出そう。
多分この三人だったら集まってくれると思う。
本当に大丈夫かな…
こんなことがあってまともに授業に集中できるかな?
***
放課後になり、教室に私と宇野と莉緒と菫と美咲が集まった。
私と美咲は部活がオフで、莉緒はたまたまバイトが入ってなくて、菫は部活に遅れて行くらしい。
私のために集まってくれたのが嬉しい。
「ストーカーの犯人が分かったって本当なの?宇野くん」
莉緒が宇野に本当かを聞く。
みんなを呼び出す時に宇野がストーカーの犯人が分かったことは伝えてある。
「ああ」
私たちはまだ信じられないって顔をしている。
「犯人はこの四人に中にいる」
え?
てことは、私、莉緒、菫、美咲の誰かが私のストーカーの犯人だってこと?
いや、なんで私も含まれてるの?
私は被害を受けた側だよ、なんで選択肢に私が入ってるの。
「そんな訳ないよ、私たちが千沙ちゃんが嫌がるかとをする訳ないよ」
「そうですよ」
「誰もそんなことしないよ、他の誰かでしょ」
もちろんみんなは必死で否定する。
そうだ、ここにいるのは私の友達しかないない、他の誰かに決まってる。
そうじゃなきゃ今まで私の事が嫌いだったってこになっちゃう。
それに嫌いなのに私に何かしら恨みながら関わっていることにもなる。
「いや、この中に高宮千沙をストーカーしている犯人がいる」
それでも宇野は断言する。
「ねぇ、宇野、本当にこの中にいるの?」
私は勇気がない。
この後この中にストーカーの犯人がいるってことを肯定されるのが怖い。
だから、犯人を言われる前に心を整える時間が欲しかったんだ。
犯人が誰であれ受け入れられる自信が無い。
この中に普段は私のことが嫌いだった人がいるってことだから。
今すぐにでも否定したい、今までの関係が嘘みたいになってしまうから。
私にとってはかけがえのない関係だけど、相手はそう思ってなかったかもしれない。
「で、犯人って誰なの?」
本当は聞きたくはない。
こんなことならこのままあやふやになっても良いって感じてしまう。
だけど私は勇気を振り絞って聞く。
このままがダメだって知ってるから。
「犯人はお前だろ
九重菫」
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異世界に転生したからチートで無双してモテモテな異世界ライフ! ……って思ってた時もありました
という作品も書いているのでぜひ見てください。
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