高宮千沙編

第21話

 あの出来事から数日が経った。


 どうやら桜井親子は上手くやっているようだ。


 もう桜井莉緒は魔法を普通に使えるようになっていた。


 やらかした。


 敵なのに背中を押してしまった。


 何をやっているのだ余は、せっかくのチャンスだったのに。


 余の目的は魔法少女を倒して地球を征服することだろ?


 自ら離れていってどうするのだ。


 だが、もう過ぎてしまったものは仕方ない、次からは気を付けないとな。


 あと、あの出来事があってから桜井莉緒がなぜか余に構うようになってきた。


 朝余が登校してきたら


「おはよう」


「おう」


「眠そうだね、ちゃんと寝た?」


「ああ」


「ちゃんと朝ご飯食べた?」


「ああ」


「あ〜もう寝癖ついてるよ」


 桜井莉緒は背伸びして余の髪を触ろうとする。


「勝手に直そうとするな」


 余はそれを拒む。


「ネクタイも曲がってるよ」


「おい!近いぞ」


「ちゃんと迷わず学校に来た?」


「余をなんだと思っているのだ!あと、お前急に馴れ馴れしいぞ」


「だって宇野くんには感謝してるんだもん。宇野くんのおかげでお父さんと上手くいってるんだよ」


 お前にとっては良いことだがな、余にとっては最悪なことなのだ。


「それに宇野くん世間知らずっぽいし、私心配で心配で」


「お前は余の親か!余に馴れ馴れしくするな」


「はいはい、で、今日ちゃんと教科書持ってきた?」


「だから」


 が、3日前の出来事である。


 あいつ家ではもう母親の代わりになっていないからしわ寄せが余に来ているではないか。


 もしかしたらあいつは元々そういう性格だったのかもしれないな。


 あと、メッセージのやり取りをするために無理やりアプリを入れさせられて、無理やりアドレスを交換させられた。


 なんで桜井莉緒とメッセージのやり取りをしなければならないんだ。


 やり取りって言ってもしょうもないやり取りだ。


『起きてる?』


 とか


『晩御飯ちゃんと食べてる?』


 とか


『もう寝た?」


 など、あいつは完全に余の母親になった気分でいる。


 ブブッ


 噂をすればというやつなのだろうか、桜井莉緒からメッセージが来た。


『まだ起きてる?』


 こんなことで送ってくるなよ。


『起きてたら悪いか?』


 ここで気づいてしまった、これを送ってしまったら今後も返さないといけないじゃないか。


 しまった。寝たことにしとけばよかった。


『よかった〜。宇野くん、明日空いてる?』


 明日の予定を今聞くなよ。


『暇だぞ』


 また送ってから気づいてしまった、暇と送ったら何かに誘われてしまうではないか。


『じゃあ明日千沙のバレー観に行こう!』


 なぜ余が敵と一緒に敵のバレーを観なくてはならないのだ。


『行かん』


『え〜行こうよ』


 せっかくの休日をなぜお前らに使わなくてはならないのだ。


『絶対に行かん』


『え〜〜〜分かったよ……』


 お!今日は大人しく引いていった。


 今日は余の勝ちだな。


 これで休日は余のものだ。


 ***


 ピンポーン


 ピンポーン


 ピンポーン


 ピンポーン


 だぁ〜うっせぇ。


 誰だよこんな朝っぱらから、宅配か?


 ガチャッ


「あ!おはよう宇野くん」


 は?


 ドアを開けてら桜井莉緒が立っていた。











ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 異世界に転生したからチートで無双してモテモテな異世界ライフ! ……って思ってた時もありました

という作品も書いているのでぜひ見てください。


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