第22話 臣ちゃんのわがまま

 PM7時




 昨日と同じく大好評のバーベキューだ、肉も魚も大量に用意してあるから遠慮なく食ってくれ、言われないまでも皆食べる食べる、彗夏と臣の食べっぷりは見ていて気持ちいいくらいだ、偏食はさせないようにちゃんと野菜もしっかり食べさせる、特に臣には。




 食べながら今日の振り返り意味も込めてそれぞれ感想を言わせる。




 心


 「彗夏さんと伊莉愛さんのダンスのレベルの高さが改めてわかりました」




 伊莉愛


 「それを言うなら心ちゃんの表現力の高さを思い知りましたよ~」




 臣 


 「ダンス難しいけど楽しいね、本格的に練習しようと思った」




 彗夏


 「臣も心もセンスあると思うよ、私も歌をもっと上手になるようトレーニングするよ」




 今回のキャンプ合宿は成功の用だな、食事を終え、コテージ内、昨日の様に中央テーブルで今日の感想、気付き、思ったこと、今後の課題を書かせる。




 PM8時30分。




 皆で露天風呂に向かう、四人と別れ一人男湯へ、ゆったりとお湯を浸かり疲れをとる、三十分程お湯を楽しんだ後は脱衣所でコーヒー牛乳を一気飲み。




 「ぷはぁー美味い!」 




 キンキンに冷えたビールにワイン、アルコール類も置いてあるがここはガマンしてコテージに戻る。




 PM9時30分。




 四人はまだ戻ってきていない、今のうちに昨日と同じくコテージ前にテントを張る、しばらくすると四人が帰って来た。




 「あー、またテント張ってる!」




 何でまた一人で寝るのかと臣が詰め寄ってくる。



 「これからやることがあるんだよ、昨日と今日の報告書を書かないといけないし」



 「そんなの部屋ですればいいじゃん」



 「集中したいから一人になりたいんだよ」





 臣はむ~っと声を出し、邪魔しないから終わるまでここにいると言ってテントに入ってくる、追い出すのも面倒だし別に良いかなと思っていたら三人がすっげー冷たい目で見てくる、キンキンに冷えた目だ、これ以上冷えたくないので柔らかく少女を説得しテントを出てもらう。




 「報告書、時間かかってもいいから書き終わったらちゃんと来てよね!」




 強くそう言うと臣は怒ってコテージに入っていく。




 「22時には布団に入っておけよ」




 そう返事を返す、今日は疲れた、俺以上に四人は疲れているだろう。




 「明日は9時にコテージ前に集まってくれればいいよ、だからと言って昨日の様に0時過ぎまで起きるなよ」




 早めに寝るようにと三人に伝えてテントの中に入った。





 PM11時30分。





 暫くしてテントから出るとコテージに明かりがついている、あいつら~、早く寝ろと言っておいたのに、ガールズトークってやつか? 盛り上がっているのだろうが0時過ぎても起きているようなら注意してやろうと思う。




 テント内で本を読んでいたらバフバフと外から叩く音が聞こえる、何だ? と思って内から空けると目の前に臣が立っていた、表情から見て今にも大きな声を出そうとしていたので素早く口をふさぎテント内に入れる。




 夜も遅いからと指を鼻先に置きシーっと静かにさせる。



 「何で来ないんだよ!」



 静かに怒鳴る少女。




 だから報告書をだなと言おうとすると本持ってるじゃん、読んでたんでしょ、と突っ込まれる。




 皆寝たの? と聞くと今寝たとの事、コテージを確認すると電気が消えている。




 「お前がここにいること知っているの?」




 「知らないよ、布団の中に環ちゃん入れてきたから私だと思っている」




 さてさてどうしたものかと思っていると、




 「かえるが部屋に行かないならここで寝る!」





 そう言い張る、やや大きめな寝袋とはいえ一つだけだし密着して寝ることになる、しかし流石に俺がコテージ行くわけにはいかないし、0時過ぎているので早く寝かせたいのでしかたなく承諾した、二人入ると流石に狭い、俺と臣は背中合わせで寝る、臣も疲れているだろうし直ぐ寝ると思ったがやたら話しかけてくる、適当に返事を返す、そう言えば昔はよくこんな感じで寝ながら話していたな、と思い臣を見たらスースーと眠っている、さっきまで喋っていたらと思ったら電池が切れたようにプツッと寝るんだもんな、子供は良いよ、今日は疲れた、俺も眠りにつく。





 ボスボス、ボスボス、とテントを叩く音が聞こえる、なんだ~と思って外に出ると、夜が明けていた、目の前にパジャマ姿の心がいる、時計を見ると6時になっている、もうこんな時間かと思ったが集合は9時のはずでは? と思っていると。





 「臣ちゃんがどこを探してもいないんです、昨日の夜は確かに布団にいたのですが環ちゃん人形だけがあって・・・・」




 俺が視線を寝袋に向けると心も臣の存在に気付く。




 しばらく間があり。




 「なんで臣ちゃんがここで寝ているんですか?」



 薄目で俺を見る心。



 「夜中に一人で来たんだよ」



 「追い返せばいいじゃないですか」



 「俺が部屋に入らないならここで寝るというんだよ」



 「だからって一つの寝袋で一緒に寝ることはないでしょう」



 「大きなサイズの寝袋だったから二人入ることが出来て助かったよ」



 「そういうことを言っているんじゃないです! 臣ちゃんはもう5年生、子供じゃないんですよ」



 「5年生はまだ十分子供だろ」



 「いいえ、そんなことありません、昨日一昨日と久しぶりに一緒にお風呂入りましたけど出るとこ出てきたというか・・・・って何言わせるんですか! とにかく子ども扱いしないでください!」




 わかったわかった、俺はもう起きるからと心をなだめて部屋に帰ってもらう、臣を起こすがまだ眠そうなのでこのまま寝かせておくことにした。




 すっかり目が覚めてしまったので身支度をすませ、皆が起きてくるまでブラブラ散歩することにする。




 早くもキャンプ最終日、三日目の朝を迎える、歩きながら昨日の続き、プリフォーが結成して間もないころの事を思い出していた・・・・。

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