第20話 プリミアムフォー結成の日
おっと、あまり感傷に浸っているわけにもいかないな、後ろ振り向き二人を見る。
先程ファミレスで彗夏と伊莉愛も環ちゃん人形のエピソードを聞いていたので感動して拍手をくれる、俺はありがとうと皆に伝え後ろにいる二人を紹介する。
「リル以外は会っているけど改め紹介するよ、今日から事務所入りした
二人を俺の前に立たせ顔合わせさせる、社長が、
「よく来たな」
そう言うと彗夏が、
「昨日はお世話になりました、これからよろしくお願いします」
ペコリと頭を下げる。
臣と心が二人に近づき手を握ってこれからよろしくと挨拶している、仲間が増えて嬉しそうだ。
「僕だけ初めましてだよね」
満面な笑みでリルも二人に近づく、舞い上がっているだろうと伊莉愛を横目で見るとカチコチに固まっている、初めましてと彗夏と握手を交わす、リルは続いて伊莉愛に手を差し伸べるがカクカクと動く長身の美少女に戸惑っている。
「よろしくね」
リルが笑顔で手を握った瞬間、
俺は見た! 伊莉愛が溶けた!!
一瞬だが溶けたんだよ、臣と心を見たら目を丸くしているので二人にも見えたんだと思い、溶けたよな? と聞いたら溶けたよね? と返事が来た、凄い物を見てしまった瞬間だった。
事務所の入り口直ぐ目の前にあるお客様用テーブルの上にはジュースやお菓子等置いてあり、皆でつまんでは賑やかに話をする、テーブルを挟むようにソファーが二つあって、三人三人の計6名座れる、リル、臣、心が同じソファー、俺、彗夏、伊莉愛が同じソファーに腰を掛ける、伊莉愛をリルの正面に座らせてやろうかと思ったが先ほど同様固まるのが目に見えているので対角線上に座らせた。
暫く皆で和んでいると社長がバッっと扇子を広げ声高らかに、
「女性諸君おめでとう、今日から君たちはプリミアムフォーとしてアイドル活動をしてもらう!」
何のことだかわからず戸惑う四人、俺からも改めて伝える。
「CDを出そうって社長と計画をしていたんだ、せっかくだからグループでね、それがお前たち四人だ」
彗夏
「私、歌はそんなに得意じゃないですよ」
キルト
「最初から上手い奴なんていない、それに君と伊莉愛はダンスをメインに考えている」
彗夏
「それなら大丈夫です、任せてください」
伊莉愛
「え~、大丈夫なの~、アイドルなんて私無理だよ~」
彗夏
「中学時代チアガールの大会後私ら二人アイドルしませんかってスカウトされたじゃん、自信持てよ」
還流
「その時は断ったのか?」
彗夏
「はい、踊りは必要としていない感じだったので」
臣
「アイドルか~、なんか楽しそう、ね、心お姉ちゃん」
心
「えー、私は絶対無理だよ」
臣
「大丈夫大丈夫、出来る出来る」
リル
「うん、心ちゃん可愛いから絶対出来るよ!」
心
「も~リルさん迄そんなこと言う」
困った顔の美少女は俺に何か言えって感じでジト~とした目で訴えかけてくる。
還流
「う、うん、俺も心は上手く出来ると思うぞ」
フォローしたつもりだが睨んでいるよに感じたので視線を合わせないようにする・・・・。
キルト
「君たちは今日からプリミアムフォー略してプリフォーとしてやっていくんだ、そして11月11日にデビュー曲を発売する」
えー! と四人がびっくりする。
「八月も半ばですよ、11月11日って言ったらもう三か月もありませんが」
彗夏が心配げに言う。
「三ヵ月もあれば十分だ、11月11日、一が並んでいて縁起がいいではないか、幸い今は夏休み、今月はみっちりとレッスンに励むように」
社長の言葉の後に続けて伝える。
「彗夏と伊莉愛はダンスがメインだが勿論歌も歌ってもらう、臣と心も歌だけでなくダンスもある程度レッスン受けてもらうぞ」
臣は良いよーと笑顔だが心は不安そうな表情を見せる。
「来週にはシローと
臣
「えっ、二夜も来るの?」
還流
「ああ、一緒に来るそうだ、二週間限定でおみ☆にや復活だな」
八重歯を光らせシシシッと笑顔で答える。
彗夏
「シローさんがダンスレッスンしてくれるんですよね? よっしゃー! 燃えに燃えてきたぜー!」
伊莉愛
「私がアイドルか~どうなるんだろう・・・・」
「彗夏ちゃん、伊莉愛ちゃん、ダンス頑張ってねー」
リルは笑顔で二人に声をかける。
「はい!」
「はははははははははいっ!」
伊莉愛の返事で事務所内が笑いで包まれた。
プリミアムフォー結成で喜ぶもの、不安がるもの、燃え上がるもの、戸惑うもの、多数の感情の渦が巻いた事務所内、彼女たちのアイドルとしての道はここから全てが始まった。
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