第331話 地下迷宮

 祭壇の上の淵に移動した俺達。


「それじゃあ早速超古代遺跡に行ってみるか」

「楽しみだわ!!」

「うむ!!行きたいぞ主君!!」


 俺が早速二人に声をかけると、二人とも目を輝かせている。


「了解」


 二人の言葉に頷いた俺。


『我、大自然の摂理を望むもの。その深淵に至る道を踏破せん!!』

『詠唱を確認。前所有者のオーダーにより、新しい所有者情報の入力をお願いします』


 超古代文明の魔法言語による呪文を唱えると、祭壇画光り輝いた後、いつものように半透明のキーボードが表示され、同じように入力した。


『確認しました。管理施設への扉を開門します』


 認証の声が聞こえた後、カシャンカシャンという音と共にゆっくりと祭壇の上に描かれていた円形の模様がズレるように開いていって、最終的に階段が姿を現す。


「よし、行こう」

「ええ」

「うむ」


 俺達はその階段に足を踏み入れた。


 階段は螺旋階段になっていて、俺達が降りていくと、それに合わせてランタンに青い炎が灯り辺りを静かに照らす。


 ある程度進むと、カシャンカシャンという音と共に開いていた部分が閉まった。


「どうやら進むしかなさそうだな」

「そうね」

「私が先を進もう」


 退路を閉じられた俺達は、カエデを先頭にして俺達は階段を降りて行った。

 

「どうやら罠の類はないようだ」


 俺達が階段を下りきると、そこに広がっていたのは塔内とそれほど変わらない迷路。ただ、明りの関係でアンデッドでも現れそうな不気味さがある。


 心なしか温度も低い気がする。


「ぐっ」

「きゃっ」

「うぐっ」


 罠はないと言っていたが、俺達が迷路内に入ってしばらくすると、急に全身の力抜けていく。


 なんだ?今まで培った全ての力が抜けているような感覚がある。


「なんなのこれ……」

「くっ。力が流れ出してるみたいだ……」


 二人も俺と同じような感覚を味わっているらしい。


 一分ほどでその感覚がなくなった。


「体が異常に重いわね」

「まるで以前の私に戻ったみたいだ」

「マジで弱くなってしまった感じがするな」


 全員が現状の感想を述べる。


 確かに二人の言う通り、弱くなったみたいに全く感じない。


「あり得るわね。魔力が感じないわ」

「確かに」


 魔力が一切感じることがなくなっていた。


 これって魔力がない状態っていうのが近いんじゃないか?


「つまり、魔力がなくなったと言うことか?」

「あ、そうかもね」

「主君の言うことが一番近いかもしれないな」


 そう思って呟くと、二人が同意するように頷いた。


「ここは魔法を使わずにクリアしろってことか」

「そうかもしれないわね」

「とりあえず行ってみるか」


 俺達はひとまず先に進むことにした。


「あれは……」

「スライム?」


 暫く進むとカエデが何かを見つけて呟き、リンネが見えたものの正体を述べる。そう、俺たちの前に現れたのは最弱そうなモンスターであるスライムだった。


「ひとまず戦ってみるか?」

「私が行ったみよう」

「力が落ちてるから気をつけろよ?」

「うむ」


 相談した結果、カエデが一番槍で攻撃を仕掛けることになった。


「せいっ!!」


ーパシャンッ


『え?』


 カエデが斬りつけると、なんの抵抗もなくスライムは消え去った。あまりの呆気なさに素っ頓狂な声を漏らしてしまう俺達。


「どうだ?」

「全然手応えがないぞ……主君」


 外から見てても分かったけど、念のために確認を取ると思った通りの言葉が返ってきた。


「そうか……。どうやら脅威もあんまり感じないから先に進んでみよう」

「了解」

「承知した」


 どうやらマジで手応えがないらしい。


 それを聞いて罠も見当たらないので、俺達はガンガン進んでいくことにした。


 それから暫く迷路を進んでいくと、出てくるのはスライムばかり。何度も何度もスライムを倒していく。


 しかし、何度目かのスライムを倒した時、それは起こった。


「え?」

「はっ?」

「ん?」


 気づいたら視界が切り替わった。辺りを見回したら俺たちは最初の地点に居た。

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