3秒で考えた話
夜橋拳
このマラカスで殴り殺すぞ
「おい」
「なんよ」
「俺ら軽音部よな」
「おん」
「部費貰ったよな。結構一杯」
「おん」
「お前ギター二本買ったな」
「おん」
ギターボーカルだからな、とこいつは言う。
「なんでドラムがねえんだよ」
「金がねえんだよ」
「てめえがアコースティックとエレキ買い揃えちゃったからな」
「おん」
「お前もだ。何知らんぷりしてんだよ。なんでベース三本も買ってんだよ殺すぞ」
ベーシストのこいつは得意げに言う。
「二本は元々俺のだ」
「新しいの買ってんじゃねえよ」
「めんご」
「ったく、どうすんだよドラム。俺だけ学園祭手拍子かよ」
「それでな、これドンキに売ってたから」
ギターボーカルから二本のマラカスを差し出された。
「これでリズムとれってか」
「おん」
「しばくぞ」
その日、軽音部は滅んだ。
2人とも、まさかマラカスが鈍器になるとは思っていなかったようだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます