最強勇者の夫~陰であなたを支えます。

ヨルノ チアサ

第0話 結婚しました

 ここは魔境や魔物が溢れる世界。俺は異世界に飛ばされ特殊なスキルを手に入れた。

――などという事はなく、異世界に飛ばさてもいなければ特殊な能力もない。ただ、魔物溢れるこの世界の一般ピーポーである。


 親に感謝するべきなのは可も不可もない顔立ち。そして平穏な家庭に生まれ、地道に働くまじめな青年に育ててもらえた事だろうか?


「……」


「……さん」


「フミヤさん、何をブツブツ一人で妄想してるんですか? 早く料理の材料収集してきてくださいよ」


 スタッフのモコに急かされ、フミヤは店を出る。


 フミヤの職業は料理人。世界3大都市の一つトーレムグレイグで料理人の仕事をしている。


 料理人といっても楽ではない。材料の仕入れや草原や森での材料収集。仕込みなどとするべき事は盛りだくさんである。


「今日は薬草関係があまり買えなかったからな。少し採集してから帰るか」


 トーレムブレイグの周辺は、草原・森・湖地帯と様々な魔物の生息地帯があるが、冒険者の充実により街周辺は安全化され

比較的魔物が少ない地域となっている。 そのため一般人でも採集のために街の外へ出る事も多いのだ。


 いつものようにフミヤは草原へと足を運ぶ。


「ラミヤ草と根無し草と……」


 ガガガ……ドドド……ガキーン!


 どこかで、硬い金属音とともに激しい爆音がなる。


「なんだなんだ。」


 その音はだんだんと近づいてくる。

 

 ドドーーーン!


 耳をつんざくほどの爆発音とともに、上空から何かが落下してくる。


「ド・ドラゴン‼」

 フミヤは衝撃に巻き込まれ気を失うのであった。


 目が覚めると「顔が近い!」なぜか女性に膝まくらをされている。


「すいません。戦いに巻き込んでしまいました」


 かの有名な3大勇者の一人雷帝の女勇者レーベンス・ヴィオラであった。


 *フミヤは混乱している……


「結婚してください」(何を言ってるんだ俺!)


 *ヴィオラは混乱した……


「はい」


「えっ? いいの?」


「は、はい! よろしくお願いします」


 それが二人の出会いでした。

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